鳳凰三山/赤沢右俣(初登) |
<日程> 2000年1月8日(土)
<場所> 南アルプス/鳳凰三山/赤沢右俣(初登)
<メンバー> ARIアルパインクラブ/有持真人(単独)
<グレード> III〜IV/200m
<所要時間> 取付〜終了点/20分(フリーソロ)
<適期> 12月下旬〜1月中旬迄の積雪が無い時
★ 写真集 ★ 概念図
<行動>
一昨年の年末年始で北岳バットレスへ行った帰りに、池山吊り尾根の最 後の下りを下山中、正面の鳳凰三山の稜線直下に氷瀑らしきものが目に付 いた。
落ち着いたら登りに行こうと思っていたが、「白龍ルンゼ」や「荒川上 流」の未登の氷瀑を登りに行っている間に雪が降ってしまい、前シーズン はとうとう登りに行くことができなかった。
今年は1月になってもまだ積雪が少ないので、早速登りに行く事になっ た。しかし、パートナーの藤原が仕事の都合で参加できなくなってしまっ たため、適当なパートナーも出払っていていないので、今回は単独で行く ことにする。
1月8日(土)曇り〜雪
夜叉神峠駐車場(06:40)〜赤沢出会(08:10/08:20)〜右俣ナメ滝(09:20/ 10:00)〜終了点(10:20/11:00)〜左俣(11:30〜12:10)〜赤沢出会(13:05/ 13:10)〜夜叉神峠駐車場(14:00)
出会までのアプローチの林道は雪もない様なので、今回は折り畳み自転 車を持参し、時間の短縮を図る事にした。
変速ギアが無いので登りになるとチョット辛いが、快適に自転車を走ら せる。対岸に見える荒川周辺の氷瀑の偵察をしながらのんびりと走ったた め、出会までの約7kmに1時間30分もかかってしまった。
出会は、鷲住山から荒川の発電所へ降りていく登山道を通り過ぎて広河 原方面へ更に2〜3Km林道を行くと、右手に堰堤が5つ並んでいる沢があ る。
これが赤沢で、橋には「赤沢」とプレートが付いているので間違える事 はないだろう。
アプローチだが、堰堤工事をしたときの仕事道の名残りが右岸にあるの で、これをたどっていくと、堰堤を全て高巻く事ができる。途中にガレ沢 を横断するので落石に注意が必要。
河原に降り立ち、ガレた沢をひたすら登っていくと、下部の氷瀑が見え てくる。ここは20mでIII程度。
更に登ると、二俣に分かれているので右俣へと登っていく。出会から約 1時間で右俣のナメ滝に到着。
雪が全く無いので、ナメが綺麗にでている。早速準備をして登攀を開始 する。
氷は乾燥した堅いガラス氷でバイルで叩くとすぐに壊れてしまう。アイ ゼンは前爪しか研いでこなかったため、氷床になるとしっかりと踏み込ま ないと滑ってしまう。
グレードは最高でIV程度でほとんどが簡単なナメ滝と氷床となってい る。簡単だが、気を抜いて滑るとナメ滝なので取付まで滑落する事になる。 ガレ沢にナメ滝が張り付いている様な状態だ。ノーザイルだったため登 攀距離がはっきりとしないが、約200m程度だと思われる。
グレードが低いナメ滝なので、中上級者には物足りないかもしれないが、 ほとんどがIII〜IVなので、初級者同士のマルチピッチ登攀の練習には最 適では無いかと思う。その場合、ビレーポイントは、スクリューで作るこ とになる。
下降は、終了点から更に登ると夜叉神峠から鳳凰三山への稜線へ出る事 ができるので、ここから登山道を夜叉神峠へ下る事ができる。
同ルート下降の場合は、右岸のガレた岩稜を下れば取付に戻る事ができ るが、かなりガラガラなので落石に注意が必要。
その後、左俣へ行ったが、簡単な氷瀑とアイスボルダーがあっただけだ った。
出会までの下降も約1時間程度。
帰りの林道は下りなので、快適に自転車を走らせ、約50分で駐車場に 到着した。
最後に、南アルプス林道の途中に小規模だが氷瀑を楽しめるエリアがあ るので紹介したい。
<アザミ沢/御野立所の氷瀑>
夜叉神トンネルを抜け、観音経トンネルを抜けるとすぐに橋が架かって おり、その上流、下流に15m〜20m程度の氷瀑が何カ所かある。
上流の堰堤の氷瀑は完全氷結すれば、垂直で20m近いので良いトレー ニングができるだろう。
橋の真下、下流にも短いが、IV〜V+のナメからバーチカルまで様々 な氷瀑がある。
取付へは、橋の横から降りるか、橋の先の短いトンネルを抜けた所にあ る駐車場から下降する。
<深沢の氷瀑>
鷲住山から発電所への登山道を通り過ぎ、広河原方面へ1Kmほど行くと 右側に堰堤工事用の林道が見える。この林道沿いに何カ所か氷瀑がある。
林道の入り口から、氷瀑を見る事ができる。