手足だけが頼りの『クライム』 小田急線渋沢駅/県立山岳スポーツセンター |
表丹沢の主峰塔ノ岳(1491メートル)から流れる水無川に沿って登山基地、大倉を目 指す。渓谷を挟んだ場所に、神奈川県立山岳スポーツセンターがある。昨年の国体で クライミング競技会場になった高さ15メートルの人工壁に挑む、たくさんのクライマ ー。円形劇場のように取り囲む芝生では、ギャラリーが日光浴を楽しみながら、声援 を送っていた。
道具に頼らず、手と足だけで登るのが、スポーツクライミングの基本だ。危険な競技 と思われがちだが、基本さえ守れば、子供からお年寄りまで楽しめる安全なスポーツ という。県山岳連盟理事の牧野龍峰さん(55)等の指導で、挑んでみた。
「身体を伸ばしきってはダメ。壁にべたっとへばりつかず、身体をひねって」「あま り腕に負担を掛けないように、足に重心を置いて」と、アドバイスが飛ぶ。何度も落 ちたが、牧野さんが命綱をしっかり確保してくれた。
ギャラリーからは「ガンバ、ガンバ」の声援も。だが20分ほど続けると、筋力の限界 だ。20センチほど先のホールド(突起)に右手を伸ばそうとするが、どうしても手が 出ない。高さは地上から焼く7メートル。思わず声を出した。
「すいません、降ります」。壁面が庇状に張り出したオーバーハングの手前であきら めた。
パンパンに張った腕をさすりながら隣を見ると、市内の小中学生等を対象にしたクラ イミング教室の真っ最中。みんな途中で決してあきらめない。ゆっくりだが着実に終 了点まで登っていく。
「難しいけど、到達したときは、征服したという感じがして楽しい」と、中学一年生 の蜷川太一君(13)。中学生に「クライム」も醍醐味を教えてもらった様な気がした 。(朝日新聞厚木支局 中沢滋人)
小田急線渋沢駅から大蔵行きのバス。クライミングウォールの利用は9時〜17時。一 般利用は一人午前450円、午後600円。専用利用は1面、午前4500円、午後6000円。要 予約。利用には指導員資格を持つ人の同伴などの条件有り。月曜と祝日の翌日休み。
秦野市戸川1392 電話0463−87−9025)(11月12日 朝日新聞 朝刊)
編集部注:インドアでなくアウトドアウォールです。
ACHP編集部