鹿野/グループ山想事務局です
今、山仲間の間では長野県が決定した遭難救助時の県有ヘリ有料化問題が話題にあ
がっていますね。
これを聞いた時私は、来るべきものが来た、と感じました。
多分一部なのでしょうがヘリをタクシー代わりに安易に呼ぶという行為、というより
当然の如くその考えを持っている団体【山の会】は以外に多いように感じるのは私だ
けでしょうか。
勿論伝統的にきちんと指導された山岳会【こちらの方が多いのでしょうが】は別とし
て、最近では装備の発達も著しく、お金さえ出せば誰でもが素晴らしい装備が簡単に
入手出来、さらにお金さえ出せば気軽にあちこちで開かれている講習に参加して基礎
的なことは教えてもらえるし、フリーなどの発達で室内壁やゲレンデでの練習量は豊
富になり、山の基本を知らずとも条件さえ良ければそれなりの岩場や冬山に登れるよ
うになりました。
ですから全くアルパインなど経験のないハイキングクラブが突如としてアルパインを
始める、ということが可能な時代になったのでしょう。
それはそれで結構な事だと思いますが、総合技術であるアルパインの中の登攀技術だ
けが頭でっかちになっていて岩場における自然の猛威に対する経験もなく、さらに不
測の事態に対応する応用技術の欠如が大きな事故に繋がってくるのではないでしょう
か。
そのことが全てではないでしょうが、私の周りにもそのような状態の非常に危険な山
の会がいくつか存在します。
実際ゲレンデや室内である程度登れるようになるとアルパインなども容易と錯覚する
らしく、このような山の会は仮に注意をしても反発するだけなので我々としても手を
こまねいている状態です。
このようにハイキングクラブがきちんとした指導者のいない状態でいきなりアルパイ
ンを始め、非常に危険な状態にあるのはほんの一部の山の会であるとは思いますがア
ルパインはお金では解決できない事も多いこと、講習では解決できない事、ゲレンデ
や室内では学びきれない事、大事なのは良い指導者のいる山岳会で最も重要なメンタ
ル面から、そして基本からキッチリ学び、経験を積み重ねていくという地味なカリ
キュラムが如何に大切かを理解して欲しいと願っています。 特にメンタル面は大
事だと確信しています。
菊池敏行氏の最新クライミング技術書の一節、
「危険が最も危険なのは、その危険を察知できない事にある。
何が危険なのかわからない。危険をシュミレーションできない
危険な事を危険だと考えられない事だ。」
「経験の少ないところには知識が少ない。知識のないところには
認識も生まれない」
上記の文は極々当然のこと、本来は書くまでもないことですが、菊池氏はわざわざ書
いたということは氏も我々と同じ危惧を抱いているのではないでしょうか。 今の
危険な山の会の現状をズバリ抉った文章です。
自分達の会の実力不足や指導者の経験不足などから引き起こされる山行とその行動の
危険性をその会の指導者自身全く気付いていないというか気ずく能力がないという
ケースは見ていて空恐ろしささえ感じます。 そしてアルパインクライミングはこ
んなものかという幼稚な思想や技術がそのままの会員に伝承され、その誤った知識が
広がりつつあるという危惧を持っています。
労山のある山の会のメンバーが、谷川岳の肩の小屋の中に入るのにアイゼンを脱いで
下さいと注意書きが有った事にたいし、「こんな避難小屋は世界でもここだけではな
いか、冬の避難小屋に入るのにアイゼン脱げとはおかしい」 と当然の如くに某ML
に投稿されていました。 山小屋でアイゼンを脱ぐ事など論じるまでもなく極々常
識的なことですが、このような事すら理解していない山屋さんがいることも事実で、
このあたりの問題は大きいのではないでしょうか。
この文を投稿された方も山の会できちんとした指導を受けられなかった被害者の一人
かもしれません。
このように技術や経験以前にメンタル面から直してもらえたらなあと痛切に感じま
す。
私は思いますが県有ヘリ有料化反対を声たからかに叫ぶ事は大いに結構ですが、実際
県警などを悩ませている上記のような山の会を無くしていく事こそ必要ではないで
しょうか。
このように有料化反対を叫ぶ以前に山岳関係者としては山岳界の中の問題点を是正し
たうえで県に対して対等に話し合え、強力に反対を訴えられるのではないでしょう
か。
私は勿論有料化には反対ですが、自分達の言い分ばかり押し通すのではなく、このよ
うな危険な山の会をなくする努力を山岳界が進めることにより、県に対して強く有料
化反対を訴えられるのだと考えています。
そうでなければ長野どころか岐阜、富山、群馬と軒並み有料化になる可能性は否定で
きません。
日山協、及び労山の行動にも期待しますが、我々山好き人間一人一人が心新たにしな
ければならない事だと考えます。
誰でもが山、アルパインを楽しむ権利を持っています。 安全に極力他人に迷惑をか
けず、謙虚さを忘れず、楽しく登ってほしいと願っています。
ARIの清水と申します。
救助ヘリ有料化問題で鹿野さんが良い話をされていましたが、私は別角度
で一言。
現在救急車も有料化の方向へ動いているそうです。一見関係ない話かと思われ
るでしょうが、似たところがあります。なぜ、救急車も有料化へ動いているか。
本来救急車は命が関わる緊急患者を輸送する目的の筈です。それが、最近タク
シー代わりに使われる事象が増えたのだそうです。
呼ばれて行ったら、重病人の筈の本人が着替え等を詰めたバックを持って家の前で
待っている。挙げ句の果てには行く病院まで指定して、本人は平然としてる。
または、旦那が車を使ってるので、救急車を呼んで、しかも子供は急病でもなんでも
ない。タクシー代が惜しくてやった・・・・そんな事例があるそうです。
また10年以上前ですかね。年末ヨットレース中に遭難。カモメ食べたり、雨水飲ん
だりして助かったクルーがいました。しかし、彼は感謝の言葉の前に「自衛隊の飛
行機は見捨てて行った」由の話をして、マスコミがそれを大げさに報道したため、
自衛隊が批判され、救助した担当の部隊も大変だったっていう事がありましたね。
先ずは批判ではなく、厚情を述べるのが礼儀だと思いますが・・・・。捜索にどれ
だけ燃料費や救助隊員の時間を費やしたのか・・・・
自分たちの行動を反省すべきではないかと思います。後日ヨット愛好家の方々と会食す
る機会があったときにこの問題をぶつけたところ、「確かに海の人間には、どうせ
救助はタダだから・・・とか」安易でタカをくくってるところがあります。」と反省し
ておられました。台風でサーフィンして流され、助けに行けば「誰が助けを呼んだ!」
と逆ギレする輩もいると救助関係の人から聞いたこともあります。
山の救助ヘリ有料化の問題と共通点があります。
1 公共の私物化
2 タダだから使ってしまえという心理(どうせやばか
ったらヘリ呼びゃいんだよ。
と自分たちの体力、 技術、知識の向上に努めることをサボる)
3 警察も自衛隊も俺達の税金で雇ってるんだから
ドンドン使えばいいんだというごう慢さ。
これを機に、海の遭難も有料化してもらいたいものです。海上保安庁や警察、自衛隊
が救助しても本人は怒られるだけで、お金は請求されない。でも山は高い救助費用を
請求される。これって不公平ですよね。以前は山屋って海の人たちの様な安易な人た
ちは少なかったんですが、安易な人が増えた背景には鹿野さんの指摘された事の他に
携帯電話の普及があるんでしょうね。気軽にヘリを呼べる。
気軽に山奥に入れる。そういう環境がミックスされて今の問題が起きてる気がします。
僕は有料化には条件付きで賛成です。条件とは遭難の計画、行動の度合いにより金額
を決める。簡単に言えば、周到な計画で行動したにも関わらずアクシデントでやむお
えず遭難した。かたや体力もない、装備も貧弱、食料も持ってない・・・・それが同
じ料金で請求されるのは納得できませんからね。
リスクに対する責任の度合いで何段階かに料金を定めて欲しいと思っています。
結局は最近の人間のモラルの低下が、問題を起こしているのだということだと
思います。
有持です。
鹿野さん、こんばんは。
大人数の山岳会ではよくある問題ですね。やはりどんな人でも
入会OKで制限なしと言う山岳会では統率も取れないし、技術伝承
なども無理ですし、まして救助技術などの面倒な講習などには参加
する人も少ないのではないでしょうか?
私は最低限のセルフレスキューができない人はクライミングをする
べきではないと考えています。ARIアルパインクラブでは本番クライ
ミングをするためには必要最低限のクライミング技術とレスキュー技
術ができなければ本番に行く事はできません。
参考までに内容を書いてみますと、
<<無雪期登攀>>
1 クライミング技術
a ゲレンデの岩場で5.10a以上がリードできる。
b 人工登攀で、広沢寺の大ハングを15分以内で登攀できる。
※ ただし、衝立岩を登攀する場合は10分以内。
2 ハーケン技術
a クラック、リスに対する適切なハーケンの選択
b 正しいハーケンの打ち方及び回収
3 ボルト技術
a 適切な設置場所の選択及びドリリング技術
b リング、RCCボルトの正しい設置方法
4 カム技術
a クラックに対する適切なカムの選択
b 正しいカムのセット及び回収
5 懸垂下降
a 岩場での下降支点の作成
b ブッシュ及び、立木を使っての下降支点の作成
c エイト環、ATCでの下降及び、下降中の停止方法
d バックアップ(マッシャなど)をセットしての懸垂下降
e 半マストでの下降
f 懸垂下降でのザイルワーク
6 確保技術
a エイト環、ATCでの確保
b 肩がらみ、グリップビレー、半マストビレー
c セルフビレーの取り方
d 確保支点の作成
・ 支点が2本の場合の流動分散または固定分散
・ 支点が3本以上の場合の流動分散または固定分散
e トップの確保及び、ザイルワーク
f セカンドの確保及び、ザイルワーク
g トップ墜落時のザイルの仮固定及びテンションからの脱出
h セカンド墜落時のザイルの仮固定及びテンションからの脱出
7 ザイルの結び方
a エイトノット
b インクノット
c 半マスト
d フィッシャーマン
e スクエアフィッシャーマン
f マッシャ
g プルージック
h 懸垂下降用エイトノット
8 救急法
a 骨折の応急処置
b 止血法
・ 直接圧迫止血法
・ 間接圧迫止血法
c 心臓マッサージ
d 人工呼吸
9 セルフレスキュー(1名での救助)
a 負傷者の背負い方
・ ザイルを使用した背負い方
・ シュリンゲを使用した背負い方
b 単独での負傷者を背負って、又はハーネスに吊しての懸垂下降
c 支点で確保しての負傷者の引き下ろし方法
d 1/3システムでの負傷者の引き上げ方法
e 宙づりからの自己脱出
10 登攀経験
<A> ルートグレードを問わず、無雪期に20本以上の登攀経験
<B> ルートグレードを問わず、無雪期に10本以上の登攀経験
<C> 三ツ峠、越沢バットレス、などのマルチピッチを5本以上の登攀経験
※ オールフォローは含まない、あくまでツルベ登攀。
<A><B> 上記の技術を全てマスターしていなければならない。
<C> 2、5、6、7、9をマスターしなければならない。
<D> 上記以外のレベル。
11 登攀可能基準
<A>+<A>のパーティであれば、どんな本番ルートでも制限はしない。
<A>+<B>のパーティであれば、どんな本番ルートでも制限はしない。
<B>+<B>のパーティはルートを聞いて危険でなければ全て許可する。
<C>+<C>のパーティであれば、本番の入門ルート意外は許可しない。
<A>OR<B>+<C>の場合は、<C>の限界を超えないグレードなら可。
<D>はゲレンデのみで、本番は許可しない。
となっています。
メンバーにランク付けをすると言う事に抵抗がある人もいるとは思いますが、
メンバーが数人の同人ならいざ知らず、30人以上になってくると一緒に登った
事がないと言う人もかなりいますので、メンバー各自がどれぐらいの技術を知っ
ているのかと言う事を一目瞭然にしておく事は絶対に必要だと思います。
もちろん、これだけで全て把握できるわけではありません。ですが、技量以上
の無謀クライミングや山で事故、無駄死にを無くすためにも必要な事だと私は
考えています。
ARIアルパインクラブでは入会制限をしてやる気のあるクライマーしか入会
できませんので、みんな真剣に取り組んでいるし、明らかなレベル以上の登攀
や、悪天候が予想されるのに突っ込んでいくと言う計画には中止勧告もだしま
すので、今まで死亡事故などは起こっていません。
やはり、自分たちで最低限の対処ができないとヘリが近づけない岩壁の途中
で事故を起こしたりしたら怪我の具合によっては手遅れにもなりかねません。
ARIでは、3年ほど前に甲斐駒ヶ岳と北岳で人工でのピン抜け、落石による墜落
骨折事故がありましたが、セルフレスキューをしっかりと訓練していたおかげで、
ヘリでピックアップできる場所まで自分たちで降ろし、事故から数時間の短時間で
救助する事ができました。甲斐駒ヶ岳の時には日没が迫っていたのでもたついて
いればビバーク、夜は秋の冷たい雨が降ったので最悪の事態になっていたかも
しれません。
鹿野さんが出していただいた意見に対して色々な意見のある方がいらっしゃる
と思います。この機会にみなさんで意見を出していただいて、ACMLメンバーの
方々が安全に登攀に望めるような方向に持って行ければいいと思いますので、
遠慮なく意見を出していただけないでしょうか?
よろしくお願いいたします。
青穂クラブ 石田です。
救助ヘリの有料化、私はおおいに結構、どんどんやるべきと考えます。私、ある
山岳団体の遭難対策常任委員をやらせて頂いております。その関係で現場の人達
のお話しを伺う機会がよく有りますが皆さん口を揃えておっしゃるのが「安易な
救助要請」「救助後の横柄な態度」この2点です。そもそも山では「事故と弁当は
自分持ち」と言うのが基本的な考えだったはずです。 確かに重大事故になる前に
救助を要請する方が良いと言う考えも有るでしょう。しかし自然を相手のスポーツ。
当然アクシデントに対する技術、知識のトレーニングも十分積んで少々の事故、怪
我くらいは自分達で処理するくらいのレベルにまで達してから山へ入るべきでしょ
う。 ヘリの要請にしても重症患者に対しては「一日でも早い社会復帰」と言う
視点からヘリを早く要請した方が良いという意見には私も反対では有りません。
しかしタクシー代わりに使うような「安易」な要請が増えている昨今、民間のヘ
リならいざ知らず行政のヘリはその地元の方々の税金で賄われているはずです。
地元の人達にすれば1度や2度ならまだしも何度も何度も事故られては「何でよそか
ら来て事故を起こした連中の費用まで我々が…」という気持ちになるのは当たり前
でしょう。
私も何度か救助や遺体の収容へ出かけた事が有ります。人、一人搬出するのにど
れだけの労力が必要か経験のお有りの方はお解りと思います。そのような現実も知
らない人達が「安易」な救助を要請し救助後はそれが当然のような態度を示す。
「有料化」の話が出てくるのも当然です。一昔前、後立の稜線で事故ったら富山側
(黒部側)へ落ちろなどという不謹慎な事が冗談半分にまことしやかに言われた事
が有りました。長野側なら民間ヘリ、救助隊が、富山側なら県警のヘリ、救助隊が
来るというところからです。 要するに全てとは言いませんが「甘え」ている山屋
が増えたということでしょう。 何度も申し上げますが「事故と弁当は自分持ち」
「セルフレスキュー」と言う意識をもっと皆が持つべきでしょう。ヘリの有料化が
現実の事となれば必然的にそのような方向へ進むでしょうし、個人、1山岳会で技
術、知識の習得が難しいというのであるなら
、日山協や労山が主催している各種講習会を始めその傘下の各都道府県連盟主催の
もの、またガイドの方々が実施されている講習会等色々チャンスは有るはずです。
それらに参加されて技術、知識を習得し、金銭的な裏づけとして日山協や労山、あ
るいは最近では上高地等の主だった登山口でも加入できる山岳共済へ加入するのは
山屋としてあたり前の事ではないでしょうか。東邦航空の篠原氏が生前、山岳救助
ヘリのJAF的構想をお持ちでした。本来はそのような姿こそが一番良いのではな
いでしょうか。山は所詮、趣味遊びの延長なんですから…
服巻@横浜タートルクラブ(所属変わりました)です。
私は、有料化原則反対です。
有料化の発端は、「安易な(不要不急の)救助要請」が原因かも
しれません。有料化でこのような救助要請は減るかもしれませんが、
それが、登山者の質の向上なのでしょうか?
ただ単に「お金がかかるなら呼ばない人」が要請しなくなっただけで、
登山者の本質は変わっていないのでないでしょうか?
鹿野さんのご意見のように、問題のある団体(個人も)をなんらかの
形で是正できればいいと思います。
しかし、私も石田さんと同じ組織に属しておりますが、問題のある団体
には、関わっていく事が難しいように感じています。
講習会などの機会は用意されていますが、はたから見て問題と思われる人は
そんな講習を受けないんです。習う(取り入れる)ことはないと思ってい
ますから。
そこで、鹿野さんの言われる「山好き人間一人一人が」と言うことに
なるのだと思います。
さて、有料化の話ですが、多くの方が「地元の税金」といわれますが、
県外者も地元での消費(交通機関、宿泊その他)で、地元の税収に
貢献していますし、ヘリの購入や運営に国庫の補助もあるのでは
ないでしょうか?どのくらいかは定かではありませんが・・・
県外者負担金が少ないのであれば、登山税の導入もあって良いと思います。
そうすれば、登山者の質が向上して、不要不急の救助依頼が減れば、
登山税は安くなっていくでしょうし、税額に響くとなれば他人への
指導も活発になるかもしれません。
保険加入を促進して、原則民間ヘリ利用、緊急時のみ公的ヘリと言う
対処でもいいと思います。
有料化によって、救助の都度に支払い原資(保険加入や家族の了承)の
確認が必要となると、緊急の救助はどうするのでしょう?
公的機関ですから、費用未回収は仕方なし、ということで飛ぶので
しょうが、有料化によって救助の必要な人に救助の提供ができるのか?
ということに不安を感じます。
また、なぜ登山者だけが有料ということも承服できません。
県外者の無謀運転による交通事故や犯罪処理も同じように扱わなければ
行政サービスの公平言う観点から問題があるのではないでしょうか?
ヘリ有料化議論には、登山者の質、意識の低さが問題となる場合が多いです。
携帯電話もそうです。しかし、ヘリや携帯電話によって命を落とさずに
済んだ方も多いはずです。
これらのツールは登山者にとっていまや必要なものだと思います。
問題はこれらの使い方をどう分からせていくかではないでしょうか?
ちょっと、余談になりますが、
仕事柄、海関係の人とのお付き合いがあります。
海難救助に出かけた漁師さんは「お互い様だから仕方ないよ。次は
自分かもしれないからね。」と言われていました。
海の救助は原則海で生活する人、山で救助する人は必ずしも山で生活
している人ではないため、山では有料なのかなと思ったことがあります。
中田@高知労山です。ご無沙汰しております。
ヘリ有料化を主張される方の、お気持ちもよく分かるのですが、自分は反対です
し、そもそも無理があると考えています。
基本的には服巻さんと似たような考えですので、細かいことは申しませんが、別
角度から少し。
田中長野県知事をはじめ「山」=レジャーという考え方そのものが都会からの一
方的な視点だな〜と感じてます。
★ http://www.geocities.jp/ja6759/
高知県の消防防災ヘリのパイロットが運営しているHPですが、災害別出動実績
をみていただければ、山岳というのが、結構ありますけど、実際の内容は、林業
関係者が圧倒的です(登山活動も含まれてますが)。田舎の人間にとって、山は
生活の場であり、仕事場であり、レジャーの場でもあるんですよ。厳密な境界な
どありません。たとえば、山に住んでいる人が余暇で酔っぱらって山菜取りに行
って、山で怪我をした場合はどうなるんでしょうか?一律に「登山だけは有料」
など分けることにはあまり意味がない。長野にも山村がたくさんあると思うんで
すけどね。
朝日「02年の山岳救助による出動回数は消防防災ヘリが29回、県警ヘリが7
9回、民間ヘリが61回で、消防防災ヘリの年間維持費と燃料費は約1億300
万円だった」
「費用にたまりかねて」というのは、ほとんどウソだと思ってます。
消防防災ヘリがまるで登山者専用であるような報道が目立ちますが、山の出動で
あっても林業の人もいれば、海のレジャーや漁師さん、郡部からの患者の転院搬
送、火災などでどの地方でも消防防災ヘリは大活躍しています。長野の防災ヘリ
の出動は全部数えたとしても29回(この数には林業などが入っている可能性あ
り。高知の区分ではそうなっている。中身を吟味する必要があり)なわけで、
(高知でも年10回くらいはある)、長野の桁違いの登山者数を考えればかなり
少ない。登山者のための出動だけで「何億円も維持費がかかる」というのはまっ
たくのごまかしです。
「でも燃料代がいるではないか」とおっしゃる方がいると思いますので、そこも
少し。これも実態とはかけ離れた議論です。
HPの区分別出動実績をご覧下さい。飛行時間の4割は訓練飛行です。日常的に
訓練しなければ、高度な救助活動はできません。特に防災航空隊は消防からきて
いる隊員がどんどん入れ替わりますから、いつも訓練訓練です。
航空隊は、何もない時にはヘリを磨いているわけではありません。バンバン訓練
して燃料を消費している。何かあれば訓練先から現場に飛ぶ。ということになっ
ています。
「1回のフライトで燃料代は4万円くらい。訓練に使うか、本番に使うかだけの
違いで、登山者の救助をしてもしなくても変わらないよ」というのがパイロット
の言葉。この状況は長野でも同じではないかと想像します。
長野県から出ている情報とそれを鵜呑みにして書いているマスコミの記事にはか
なりバイアスがかかっていると考えるべきです。
自分も今の状況がベストとは思いませんが、今回の長野のような拙速なかたちで
はなく、現場の人の話を良く聞いて(航空隊の人は親切にいろいろ教えてくれま
すよ)、もう少し客観的な事実に基づいて、冷静にじっくり議論をしたうえで、
あるべき方向を考えていければいいなと感じています。
青穂クラブ 石田です。
服巻さんご無沙汰してます。
服巻さんのご意見ごもっとも思います。 要するに基本的には同じ考えのように思
います。
以前、富山県警の椙田氏が「他府県から来て事故を起こした連中の為に何で危険を
犯してまで救助に行かなければならないんだ」と言う質問に「他府県の人間であれ何
であれ命は一つなんだ。だから救助に行くんだ」と答えられたと言う事をお聞きしま
した。誠にありがたい事です。しかしそれにおんぶに抱っこ「甘えて」良いと言う事
ではないはずです。私が言いたいのはそこなんです。登山者一人一人が「セルフレス
キュー」という意識を持って技術や知識の習得をする事が一番良いでしょう。しかし
服巻さんが言われるのも現実でしょうし大多数の登山者は自分には関係の無い事と
思っているのではないでしょうか。ならばどうするか。服巻さんが言われる登山税と
いう方法も有るでしょう。また篠原氏が提唱されていた救助ヘリのJAF的構想と言
う方法も有るでしょう。とにかく有料化する事によってもう一度自然を相手としてい
るという事を再認識し「セルフレスキュー」という意識を皆が持ってほしいという事
を願います。
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