事故のページを読み、情報の不足がトラブルを引き起こす結果に結びついている物と感じました。
下記します内容を理解いただき、トラブルを未然に防止し、シューズの寿命を延ばすことが出来
れば幸いです。
記
ページの中では素材を「合成繊維素材」と記していますが、たぶん正しくないものと思います。
繊維を用いた靴底は渓流用のフェルトを使った物ぐらいで、一般登山靴としては有りません。
ここで用いられている底材はウレタン樹脂と推測します。
雪山登山用として用いられている硬質のプラスチック製登山靴と同類の物です。
プラスチック製登山靴が経年変化で壊れやすくなることは既に、数年前にニュースとなり、
関連業界からデメリット情報が出され、店頭にも印刷物が置かれているのでご存じの方も多いと
思います。
軽登山靴としてのウレタン樹脂は軟質の物で軽く、クッション性に富み、比較的耐磨耗性にも優
れています。
しかし、一部のウレタン(ポリエステル系)は硬質の物と同様、経年変化で使用回数の過多に関
わらず破損することがあります。
これはポリエステル系ウレタンの特性で“加水分解”による劣化が原因です。
“加水分解”とは空気中の湿度により素材が劣化する現象ですが、
@密閉状態に長く放置されること、A高温多湿の環境に置かれること
等により進行が早まります。
ウレタン底のシューズを長持ちさせるには@使用後は良く乾燥させてから保管することA保管に
際してはポリ袋等密閉性の高い物に入れないことB出来るだけまめに、陰干しをすること、Cま
た、上記の環境下でシューズを保管しないこと(夏場の、車のトランクや屋外の物置などは最悪
の保管場所となります)。大事にしまい込んで置くよりも、ある程度回数多く履いている方が長
持ちするとも言えます。
保管場所、方法に因りますが購入後3年近く経過したシューズは底を大きく曲げたときにクラッ
ク(ひび割れ)が入っていないか、
甲との接着部に剥がれが無いか、凸意匠部に欠けたような現象が見られないか注意してみて下さ
い。
劣化しているかどうかの目安になると思います。
(最近国内で製造されているウォーキングシューズには加水分解の起こりにくいウレタンが使
われていますが、
軽登山靴の多くが中国等海外生産品ですので、加水分解が避けられないと考えた方がよいと
思います。)
/記:シューフィッターM.O.
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