植物のために、遊歩道以外は歩かないで−。本格的な夏山シーズンを迎え、八尾町
は、高山植物の宝庫として知られる同町の白木峰(一、五九六メートル)一帯におけ
る自然環境の保全に頭を痛めている。ここ数年の登山ブームで、心ない登山者が動植
物の生息地を踏み荒らす被害が広がっており、町は看板を設置するなどして登山者に
マナー順守を呼び掛けている。
岐阜県境に近い白木峰は、町中心部から約三十キロ離れた県立自然公園。山頂付近の
一・五キロ四方の湿原には、ニッコウキスゲやササユリなどが自生する。
湿原には板を渡した遊歩道が設けられ、散策を楽しむことができる。ガキ田と呼ばれ
る、微小生物や藻類などが生息する「池塘(ちとう)」や浮島のある池もある。
年間一万人以上が訪れる町の代表的な観光スポットとなった一方で、遊歩道を外れて
草地に足を踏み入れたり、植物を採取するなど心ない登山者も増えている。踏み荒ら
された湿原は、土壌が脱水されてしまう。
植物が枯死してしまって裸地となる場所も、年々広がっており、町は湿地内の五カ所
に看板を設置し、遊歩道以外を歩かないよう呼び掛けている。
同町農林課は「一度踏み荒らされると、高地の環境は二度と復元しない。自然をいと
おしむ心を持って登山してほしい」と話している。(7月1日 北日本新聞)
ACHP編集部
★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る