「終わらない旅」冒険家河野さんの妻が一周忌に手記

昨年5月、北極点から古里の愛媛県瀬戸町を目指す1万5000キロの冒険の途中に
遭難死した冒険家河野兵市さんの妻、順子さん(44)=東京都三鷹市=が一周忌に
あたる17日、手記「絆(きずな) 河野兵市の終わらない旅と夢」(河出書房新
社)を出版する。世界を旅した夫との日々を振り返りながら「私もまた、自分という
命の根源をみつめ、探し求めながら、一歩一歩と敬虔(けいけん)に歩きつづける人
生でありたい」とつづっている。

河野さんの遺骨を抱いてカナダから帰国後、「兵市さんの人生を描くことで、これか
らを生きる意味を見つけられるのではないか」とペンをとった。

そうしてまとまった本では、89年2月に河野さんが長女の出産に立ち会ったエピ
ソードを披露。順子さんが河野さんの肩につかまり、立った姿勢で産むという体験で
「人間が生まれるときのことを、兵市さんには是非知っておいてほしいという私の願
いは、こうやって叶(かな)えられました」と振り返る。

北米、南米、豪州、アフリカと冒険を続けた河野さんの最後の旅、「リーチングホー
ム」は01年3月27日にスタートし、徒歩やスキーで北極圏を抜けた後、ベーリン
グ海をシーカヤックで渡ってロシアに入り、徒歩でサハリン、北海道を通って6年後
にゴールするはずだった。

順子さんは、せめて北海道から愛媛まで、2人の子どもとともに旅を引き継ぎたいと
考える。「父親のしてきたことを、一日でもいいからしてみることしか、父を知るこ
とはできないと考えるからです」と書いた。(5月17日 asahi.com 15:15)

ACHP編集部

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