富士スバルライン 管理有料道路が有力 県、本格検討に着手

富士山有料道路(富士スバルライン)の料金徴収期限(二○○五年六月)後の在り方
について、山梨県は八日までに、期限後もこれまで同様、料金を徴収できる「管理有
料道路制度」を導入する方向で具体的検討に入った。県は環境保全対策を目的とした
法定外目的税も並行して検討してきたが、国土交通省が同制度の課題となっている徴
収金の富士山環境保全対策への活用について前向きな姿勢を示したことなどから、同
制度の導入に傾いた。

天野建知事は九日に開く県議会各会派との意見交換会で、同制度導入に向け取り組む
こととなった経過などについて説明する方針だ。

富士スバルラインへの管理有料道路制度導入をめぐっては、国交省側が除雪などの維
持管理に多額の費用がかかることや、多くの県外者が利用する観光道路であることな
どを理由に、特例的に導入を認める方向を示したのを受け、県は法定外目的税「富士
山環境保全税」(仮称)と比較検討してきた。

「富士山環境保全税」は、徴収金を環境保全対策に幅広く使える一方で、一般道路と
しての管理となるため、人員配置など特別な対応をしなければ、現在より管理水準な
どが低下する恐れがある。

これに対し管理有料道路の場合、管理水準などは現在のレベルを維持できるものの、
徴収金を環境保全対策にどこまで使えるかが課題となっていた。

天野知事は七日、国土交通省を訪ね、大石久和道路局長と会談。関係者によると、徴
収金の環境保全対策への幅広い活用について、大石道路局長は前向きに検討すること
を約束したという。

県は今後、環境保全対策への活用範囲や料金設定などの細部について同省側と協議す
る。その上で同制度を導入するかどうかの最終結論を、今夏ごろまでに出す方針。

一方、同スバルラインより二年早い○三年六月に料金徴収期限を迎える北アルプス・
乗鞍岳の有料道路「乗鞍スカイライン」について、岐阜県は四月三十日、期限後はマ
イカーの乗り入れを規制する方針を明らかにした。

通行を認めるバスなどの利用者には法定外目的税「乗鞍環境保全税」を課す方向でも
検討に入っており、県でも管理有料道路制度の導入と合わせ、夏のピーク時の十日間
前後実施しているマイカー規制の拡大など、抜本的な環境保全対策も迫られそうだ。

管理有料道路は、道路の維持修繕に関する工事に多額の費用がかかり、道路管理者が
行うことが著しく困難、不適当と認められる場合、一般有料道路として料金徴収期限
後も継続して料金を徴収できる制度。導入に当たっては国交相の許可が必要で、これ
までに全国で二例しか認められていない。(5月9日 山梨日日新聞)

ACHP編集部

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