山小屋のトイレでチップ制検討

立山一帯の山小屋はトイレのし尿と生活排水をきれいに処理する合併処理浄化槽など
の導入を進めている。国、県が補助するとはいえ費用負担は軽くなく、環境省も経費
徴収を容認。一方で各山小屋は有料トイレを「強制できない」とし、料金箱を置く
「チップ制」を検討している。

浄化槽の処理方式は、微生物で汚物を分解し水だけを再利用する。立山連峰では十一
年以降、補助制度を使い剣山荘(二、五五〇メートル)など六カ所の山小屋がトイレ
を改良した。今年度は新たに三カ所が整備を決めた。

雄山を目指す多くの観光客が利用する一ノ越山荘(二、七〇〇メートル)の公衆トイ
レは昨年十月、改修工事を終了。除雪後にテストし夏山シーズンに間に合わせる。
チップ制導入を予定する佐伯光昭オーナー(40)は「登山者の気持ち次第」と話
す。

みくりが池温泉(二、四五〇メートル)は七月上旬の浄化槽完成を目指している。従
業員らは「室堂ターミナルが無料なのに、約二十分歩いて有料とは…」とチップ制に
は消極的。「全体的な取り組みにしてほしいのが実情」と漏らした。

同じく室堂ターミナルに近い立山室堂山荘は昨年十月に使用を開始。以前にチップ制
を試みたが不評だったため中止した。佐伯千尋オーナー(49)は「チップの有無は
ともかく、クリーン化のノウハウを今後導入する他の山小屋に生かしたい」と環境保
護を第一に考える。

立山を訪れた観光客からは「トイレがきれいならば有料でも仕方ない」「入山料代わ
り」という声が多く聞かれた。県自然保護課は「チップ制を導入している剣山荘から
は『七割が払っている』と聞いている。環境保全で経費がかかるならば有料化は必
要」とした。(5月2日 北日本新聞)

ACHP編集部

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