白神山地の向白神岳近くで大規模ながけ崩れが発生していることが、三十日までの東
北森林管理局青森分局などの調査で分かった。現場は白神山地の世界遺産地域に隣接
する地点。笹内川に注ぐ沢が大量の土砂で埋まり、河川環境への影響などが懸念され
ている。同分局は一日、現地を詳しく調査する。
大規模ながけ崩れがあったのは、向白神岳と太夫峰を結ぶりょう線の中間付近に位置
する西斜面で、向白神岳からは北側に約一キロの付近。崩落は長さ約八百メートル、
幅約三百メートルにわたり、流出した土砂は七万−十万立方メートルと推定される。
現場の東斜面は世界遺産地域。
登山愛好家グループ「白神倶楽部(くらぶ)」の会員数人は二十九日に崩落地点を確
認。笹内川の支流である三ツ沢目に土砂や岩が二、三メートルもたい積し、谷を埋め
尽くしていたという。土砂は笹内川本流に数百メートルまで迫っており、今後、大雨
があれば本流まで流れ出す危険がある。同日正午すぎにも小崩落があり、斜面から土
煙が上がっていたという。
三ツ沢目と本流の合流地点から約三百メートル下流には、東北電力のダム取水地点が
あり、発電事業への影響を懸念する声もある。
東北森林管理局青森分局によると、がけ崩れが発生したのは四月十五日前後とみられ
ている。原因は不明だが、雪解けで地盤が緩くなっていたところに、小規模な雪崩が
きっかけになった可能性があるという。同分局は「現場は通行困難な地域で、季節的
にも登山者らが入り込んでいた可能性はないのではないか」と話している。
※写真は大量の岩や土砂で埋まった笹内川の支流 (5月1日 東奥日報)
ACHP編集部
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