全国植樹祭から1年 跡地の有効利用は?

一面芝生の植樹祭会場跡地。県内外のキャンプ客らが自然を満喫していた=29日、
瑞牆(みずがき)山で

「伝えたい森のやさしさあたたかさ」をテーマに昨年5月、須玉町の瑞牆(みずが
き)山で全国植樹祭が開かれてから間もなく1年。県と須玉町は会場周辺を「瑞牆の
森」として整備し、キャンプ場も設けることにしている。ただ、どれほどの利用が見
込めるかなど、課題も少なくない。森林を生かした子供たちの総合学習の場とする案
も浮かんでいる。

全国植樹祭では、天皇皇后両陛下がミズナラやカラマツなどの苗木を「お手植え」し
た。県は会場と周辺駐車場の整備、式典費用などに約15億円かけた。現在、式典会
場跡地は広場になっている。

29日訪れると、時折さわやかな風が吹き抜け、南アルプスまで一望できた。駐車場
に車が八十数台。大型バスも来ている。春日部、袖ケ浦、品川……他県ナンバーが多
い。周辺にはテントがいくつも張られ、すでに自然のキャンプ場になっていた。広場
の芝生でキャッチボールする家族連れや散策する中年夫婦などもみられた。

県と須玉町は跡地利用について98年から検討してきた。今年度から3年かけてキャ
ンプ場や花壇などが整備される計画だ。他県でも植樹祭跡地をキャンプ場にするケー
スが多い。県は単年度事業として8千万円かけて歩道の整備と植林をする。

キャンプ場の整備は須玉町が担当する。昨年、区長や山荘経営者ら町民30人による
跡地整備計画検討委員会をつくった。「地域の活性化に役立つこと」を前提に3回の
話し合いが持たれた。

町農林課の担当者によると、委員会では県と町が示した計画と異なるアイデアはほと
んど出なかったという。

ただ、「地元に経済的な恩恵があるのか」「3つ目のキャンプ場が必要か」という疑
問もあがった。跡地から数百メートルしか離れていない町営キャンプ場は年間利用者
が3千人足らずで、稼働率が10%ほどだからだ。

これに対し町は「収容規模をさらに増やすことで大口のキャンプ客を誘致できる」と
説明。跡地の整備のほか、利用者に便利なように町営キャンプ場をオートキャンプ場
に衣替えする計画だ。

「今後は人を呼ぶ方策に力を入れる」と担当者。休日は観光客が見込める。一方で閑
散とした平日には「小中学校の総合学習などに利用されるよう、自然学習のプログラ
ムをつくったり、散策コースを設定したり運営方法を充実させたい」と話す。

町の04年度までの整備計画の総事業費は3億4千万円。今秋にはキャンプ場づくり
に着手したいと言っている。(4/30asahi.com 山梨)

ACHP編集部

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