雨が降っても、車窓はくっきり−。透明なプラスチックの表面に酸化チタン膜を張
り、曇らないようにする技術を県工業技術センター(高岡市二上町)などが開発し、
立山・黒部アルペンルートの立山ロープウエー(大観峰−黒部平)客車窓の一部に取
り付けた。壮大な山岳景観をより鮮明に楽しもうという試み。同センター研究員らは
アルペンルート全線開通後の二十二日、昨年十月の設置後初めて現地を訪れ、厳しい
環境で効果を持続しているかを調べる。
透明で割れないプラスチック「ポリカーボネート」は新幹線の窓などに用いられてい
るが、水滴が付き曇りやすく、汚れやすい欠点があった。県工業技術センターとタカ
ギセイコー(高岡市二塚)が昨年、ガラスや金属だけでなく、プラスチックに酸化チ
タン膜を張る技術を開発。酸化チタンには紫外線を当てると水を分解し活性酸素をつ
くる性質があり、活性酸素が汚れを分解する。酸化チタン膜プラスチックは太陽光が
当たるだけで表面の汚れを分解、曇らないことを可能にした。
同センターの高林外広主任研究員らは、立山ロープウエーを運営する立山黒部貫光
(TKK、富山市桜町)に協力を求め昨年十月下旬、客車の一部窓を酸化チタン膜プ
ラスチックに変えた。窓にポリカーボネートを使うロープウエーは雨が降ると結露
し、後立山連峰の山々や黒部湖がくっきり見えないことが多かった。TKK技術環境
本部の高江均課長は「酸化チタン膜の窓は、少し紫色が付いているのが問題だが、結
露防止効果に注目している」と言う。
二十二日に現地に行く高林主任研究員は「標高が高く気温差が激しい環境でも、曇ら
ない効果を維持できているかチェックしたい。色の問題は、TKKの意見を聞き、今
後改良していきたい」と話している。(4月19日 北日本新聞)
ACHP編集部
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