国際山岳年に合わせシンポ 立山の環境保全策紹介

国連の提唱する「国際山岳年」の今年、富山が世界に誇る立山連峰を舞台に、山岳環
境の保全策などについて考える記念事業が、県内で相次いで開かれる。立山一帯に生
息し特別天然記念物になっているライチョウの知られざる生態を探る「富山ライチョ
ウシンポジウム」や、立山の先進的な山岳トイレ整備の取り組みを柱とした「全国山
岳トイレシンポジウム」などで、国内の山岳観光地を環境保全面でリードする富山の
魅力を全国に発信する。

ライチョウシンポは、県内外の研究者でつくる「ライチョウ会議」(事務局・長野県
大町市)の第三回会議が、八月下旬に富山市で開かれるのに合わせて開催。県鳥に指
定され立山連峰のシンボルでもあるライチョウの生態を広く紹介する。

ライチョウは日本国内に約三千羽が生息していると推定されており、うち立山など県
内で千羽以上が確認されている。シンポ会場に予定している立山の室堂では昨年秋、
成鳥二羽が原因不明の皮膚病にかかっていたことが、このほど分かった。シンポでは
ライチョウの生態を通じて立山の環境問題を考え、自然保全の機運を高める。

トイレシンポは九月上旬に、富山市で山岳関係者ら約四百人が参加して開催する。水
や電気のない山岳地帯のトイレは地下浸透式が一般的だが、近年は登山ブームで利用
者が急増し、地下に浸透させるだけでは処理しきれなくなった。

立山では一ノ越(二、七〇〇メートル)の公衆トイレ(バイオ菌による土壌処理循環
式)をはじめ、室堂や剣岳、五色ケ原方面の山小屋で合併処理浄化槽などの整備が進
んでいる。立山の先進的な取り組みをシンポで紹介し、自然保全に配慮したし尿処理
の方法を探る。

国際山岳年は、山岳地域の生態系保全と持続可能な開発を図ろうと、国連が設定し
た。国内を代表する山岳観光地・立山の環境保全策を探るとともに、富山の魅力を全
国に発信しようと、県と関係団体が両記念イベントを企画。十四年度県予算案に開催
費補助として計六百万円を計上した。

このほか、国際山岳年記念事業として、十月十二、十三の両日、城端町でクライミン
グアジア選手権大会が開かれるなど、さまざまなイベントが予定されている。(2月
22日 北日本新聞)

ACHP編集部

★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る