北アルプス・立山(富山県)に生息する国の特別天然記念物ライチョウ2羽から、皮
膚病が見つかり、うち1羽が死亡していたことがわかった。環境省によると、野生種
のライチョウから、この種の病気が見つかったのは初めて。細菌による感染症の可能
性もあり、同省は原因調査に乗り出す。立山はペット連れ登山が問題化しており、研
究者らは、ペットや平地の動物の入り込みによる影響を危ぐしている。
環境省によると、皮膚病のライチョウ2羽はいずれもオス。昨年11月16日、民間
のライチョウ研究組織「富山ライチョウ研究会」が定期生息調査を実施中、立山・室
堂平(標高約2500メートル)で見つけ、捕獲した。
2羽とも左右の羽の付け根の羽毛が抜け落ち、表皮がただれていた。1羽は体重が通
常の7割しかなく、えさも食べず、2日後に死んだ。もう1羽は症状が軽く、発信器
をつけて放した。
岐阜大学農学部獣医学科の山口剛士講師(微生物学)が、死んだライチョウを検査し
た結果、ただれた部位からブドウ球菌の一種スタビロコッカス・エピデルミディスが
見つかった。
この菌は平地では人間の皮膚や、家畜の表皮、毛にもいる常在菌で、病原菌ではない
とされている。ただ、標高2400メートルを超える高山帯で、生物の表皮から見つ
かった例はないという。
環境省は、雪解けを待ち、放したライチョウも捕獲、病状の進み具合などをみて対応
を検討するとしている。(2月19日 asahi.com 19:02)
ACHP編集部
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