「山の環境」関心あるが理解不十分 中高年登山者調査
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「環境を守りたいので山小屋の有料トイレ化は当然。でも、水洗に」―。中高年登山
者の多くが環境保護に関心を持っているつもりでも、山の特殊性を十分理解していな
い実態が、上伊那郡長谷村を拠点に活動する住民グループ「南アルプス研究会」(小
沢陽一会長)の登山者意識調査で浮き彫りになった。十四日まで、同郡南箕輪村の信
大農学部で開いた日本林学会中部支部大会で発表した。
調査は六月―十月末まで、山梨県境の北沢峠で行っており、今回は入山者の多い七月
末―八月上旬分の中間報告。五百四十一人から回答を得て、四十歳以上の中高年登山
者四百二十人について結果をまとめた。
山小屋のチップ制トイレについては68・3%が「困難なし尿処理を考えれば当然」
と回答。山岳地域は「過剰利用されて」(64・5%)おり、入山規制も「環境保全
のためにはやむを得ない」(68・8%)としている。
ただ、「山に平地並みのサービスは必要ない」とした27・9%のうち約七割が、水
処理が困難にもかかわらず合併浄化槽などによる水洗トイレ化に肯定的な回答。全体
の35・7%は「ビールが冷えていない」などの理由で山小屋の設備充実を望んだ。
聞き取り調査では、峠とふもとを往復する村営バスの増便を求める声や、「洗剤で食
器を洗って流す人がいる」との指摘もあった。
同研究会は「平地感覚で入山する人も少なくない」と指摘。「物資輸送や林道の維持
管理、調理や冷蔵に必要なエネルギーなど、山小屋の実情を知ってもらい、だれが環
境保全のコストを負担すべきか、議論を深めていく必要がある」と呼び掛けている。
(10月16日 信濃毎日新聞)
ACHP編集部
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