山の紅葉便り

◆色づく北ア 涸沢見ごろ

標高二、四〇〇メートルの北アルプス・涸沢で、紅葉が見ごろを迎えた。さわやかに
晴れ渡った三日、涸沢カールは約千人の登山客でにぎわった。

紅葉は、赤いナナカマドを基調に黄色いダケカンバが彩りを添え、そこにハイマツの
緑も加わって、穂高連峰を背景に見事なコントラストを描いている。岩手県滝沢村の
小坂洋子さん(48)は「北ア随一の美観と聞き、主人と来ました。夢のような景色
です」と興奮していた。

今年の涸沢は、九月上旬になっても気温が高い日が続き、紅葉は遅れ気味だったが、
下旬の急激な冷え込みで例年並みにまで戻った。「今年はりょう線付近の新雪に追わ
れるように忙しく色付いた」と山口孝・涸沢ヒュッテ社長。紅葉はこの週末が最も盛
りで、中旬までは楽しめそうという。(10月4日 信濃毎日新聞


◆紅葉、眺望楽しみ シーズンを終える/岩手山

早池峰を背に頂上を目指す登山者たち=岩手山馬返しコースで

火山活動が沈静化し、3年ぶりに登山が東側に限って解禁され、多くの登山ファンを
迎え入れた岩手山(2038メートル)が8日、3カ月余りのシーズンを終えた。火
山災害に備えて登山道に設けた緊急通報装置が、積雪期に維持できないためだ。

昼過ぎまでほぼ青空に恵まれ、紅葉も真っ盛り。今年最後の入山者約470人は、燃
えるような木々の紅葉や眺望を楽しんだ。

ふもとの4登山口では、午前10時から入山を規制。役場職員らが「入山禁止」の看
板を備え付けた。頂上付近でも、午後から職員らが下山を呼びかけた。

盛岡市内の県職員男性(54)は「頂上からの眺めは、遠くまで見下ろせて最高でし
た。今年は3回しか登れなかった」と名残惜しそうに話した。

7〜9月の入山者は、登山者カードを出した人だけで約2万5千人。

義務付けられた登山者カードに対する下山カードの回収率は、始めは8割弱だった
が、その後の呼びかけなどで伸び、9月は93・2%、平均でも85・8%になっ
た。

岩手山の火山活動に関する検討会座長の斎藤徳美岩手大教授は「大きな火山変動もな
く何より」と胸をなで下ろした。来年の解禁について「基本的には今年の日程を踏襲
したいと思っている」と話した。(10/9 asahi.com 岩手版)

◆ニセコ山系 紅葉真っ盛り

登山者らの目を楽しませているニセコ山系の紅葉=後志支庁ニセコ町の五色温泉周辺
で

後志支庁ニセコ山系で、紅葉が最盛期を迎えている。赤く色づいたナナカマドや黄の
ダケカンバなどが鮮やかに山を彩り、観光客らを楽しませている。

ニセコ山系最高峰のニセコアンヌプリ(1308・5メートル)やイワオヌプリ(1
116メートル)のふもとの五色温泉周辺の駐車場では、8日早朝から登山客や散策
する人たちでにぎわった。今年は、寒暖の差があり、紅葉も一段と見事だという。紅
葉前線は、次第に平地に下がり、今週末が最も見ごろとなりそうだ。(10/9
asahi.com 北海道版)

◆樽前山の紅葉観光に痛手 観光道の通行止め続く 苫小牧

樽前山五合目から七合目へ至る苫小牧市道樽前山観光道線(二・八キロ)が、台風11
号による路肩崩落で車両通行止めとなったまま、秋の紅葉シーズンを迎えている。苫
小牧観光協会は「樽前山はウトナイ湖と並ぶ苫小牧観光のシンボル」と早期の道路復
旧を望むが、工事は今月中旬以降にやっと始まる予定で、行楽シーズン中の開通は絶
望的な状況だ。

同線は台風11号による大雨の影響で、八月二十三日から通行止め。六合目を中心に延
長二百五十mにわたって路肩が崩壊し、乗用車が通れない状態になっている。

苫小牧市道路維持課によると、工事がずれ込んだ原因は、国の災害査定が九月二十五
日と遅かったため。復旧にかかる事業費約千五百万円のうち八割は国費負担となり、
工事が順調に進めば年内には復旧する見通しだ。

車両通行止めとなってから、登山者は五合目に路上駐車し、徒歩で約一時間かけ七合
目の登山口にたどり着く。そのためバスなどで乗り付け、軽装のまま登山に臨む観光
客の姿は消滅。例年秋の行楽シーズンでにぎわう九月の登山者数も、今年は最終的な
集計は終わっていないが、この十年で最低だった昨年の千七百五十三人を大幅に下回
る見通しだ。

樽前山は数年前まで年間四、五万人が登る観光名所。それが二年前の火山活動活発化
による一部登山規制から登山者が減り、一昨年は一万五千人、昨年は一万三千人と激
しく落ち込んでいる。苫小牧観光協会は「火山活動の活発化、千歳側の苔の洞門ルー
トの通行止めに続く市道の崩壊で、お手上げの状態。イメージダウンが心配だ」と肩
を落とす。

一方、苫小牧山岳会の藤田理会長は「車両通行止めは残念だが、これまでが便利すぎ
たともいえる。ゆっくり紅葉を眺めながら、登山本来の楽しみを味わってほしい」と
話している。(10月10日 北海道新聞)

ACHP編集部

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