県が来月にも発足 大学教授らで構成 年度内に結論
「無料原則」と整合性課題
山梨県は、富士山有料道路(富士スバルライン)の二○○五年六月の料金徴収期限終
了後の法定外目的税導入について検討する研究会を九月中にも発足する。「富士山の
環境保全のためには法定外目的税の導入が望ましい」とするスバルライン将来活用検
討委員会の提言に沿うもので、大学教授ら外部委員五、六人で構成。二○○一年度内
に法定外目的税のスバルラインへの導入の必要性の理論構成はじめ、課税体系の骨子
など、導入に向けた原案づくりを目指す。道路に関係する法定外目的税の導入は、全
国的にみても例がない。導入に当たっては「道路の無料開放原則」との整合性確保な
ど、克服すべき課題も多く、研究会での協議の行方が注目されている。
県税務課によると、研究会は税法や環境経済学、交通政策、行政法などを専門とする
大学教授ら外部委員で構成する予定。現在人選を進めており、決まり次第、会を発足
する。
また、県の総合政策室や道路建設課、みどり自然課、税務課などで構成する事務レベ
ルの庁内横断組織も立ち上げ、研究会と連携しながら、スバルラインへの法定外目的
税導入の在り方を探る。
法定外目的税の導入に当たっては「通行税」が想定されるが、有料道路以外で、道路
利用者に経済負担を求めるのは、道路の無料開放の原則などの道路法の趣旨に反する
との指摘もあり、この問題をどう克服するかが大きな課題となりそう。
県としては、スバルラインが日本のシンボルである富士山を通っているという点を重
視し、富士山の環境保全を目的とすることを導入の柱としたい考え。このため研究会
では(1)スバルラインに法定外目的税を導入する必要性の理論構成(2)目的税導
入の条例案の原案(3)課税として徴収する料金体系−などについて検討する見通
し。「○一年度中に研究会としての結論を出すのを目指している」(県税務課)とし
ている。
スバルラインへの法定外目的税の導入をめぐっては、県の「富士スバルライン将来活
用検討委員会」が今年二月、天野建知事に「料金徴収期限後に歯止め策を掛けないま
ま無料開放した場合、通行量の増大が予測される。渋滞悪化、自然環境への影響が予
想され、通行車両、来訪者数を適正な水準に誘導するため道路利用者に一定の経済負
担を引き続き求めることが必要」と提言。負担の方法として、富士山環境保全のため
の財源確保などの効果が期待できる法定外目的税が望ましいとした。
法定外目的税では、南都留郡河口湖町、勝山村、足和田村の三町村が河口湖の釣り客
から徴収する「遊漁税」を全国に先駆けて七月から導入している。(8月27日 山梨
日日新聞)
ACHP編集部
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