「もしもし、私は今どこにいるのでしょう」―。県内の山岳の登山者から携帯電話に
よる一一〇番通報が増えるのと同時に安易な通報も目立つようになってきた。「道に
迷った」などと通報しておきながらその場を離れたり、複数の県警に救助ヘリコプ
ターを要請したりと、そのたびに振り回される県警山岳遭難救助隊は頭を痛めてい
る。
今月十七日、北アルプスの西穂山荘から奥穂高岳に縦走中の横浜市内の会社員男性が
高山病に。仲間二人が携帯電話でそれぞれ長野、岐阜県警に救助要請した。長野側か
ら民間ヘリ、岐阜側からは県警ヘリが到着すると、会社員は「(一回数百万円の)お
金が掛かる民間ヘリを頼んだ覚えはない」。民間ヘリは引き返した。
今月上旬には、黒姫山を下山中だった都内の男性医師(29)が携帯電話で「がけの
所で困っている」と通報。電話はそれだけで切れた。県警は救助ヘリを飛ばしたが、
六分後、自分で移動した男性から「無事下りた」との連絡。ヘリは途中で引き返した
が、同隊は「電話が切れたら、こちらからも連絡を試みるので、その場で待っている
のが原則」。中には通報したまま自力下山し、何の連絡もなかったケースもあったと
いう。
また、「道に迷ったけれど、私はどこにいるのですか」と一一〇番で尋ねてくる登山
者もいて、「事前学習や準備不足の側面もある」と同隊。
県警地域課によると、携帯電話による救助要請は、九六年に二件だったのが昨年は全
救助要請の35%に当たる四十九件に増え、今年は二十二日現在で既に四十四件に達
した。山岳遭難救助隊の翠川幸二隊長は「われわれは、どんなに厳しい場所でも駆け
つけるが、安易な通報はやめてほしい」と話している。(8月23日 信濃毎日新聞)
ACHP編集部
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