上高地のチップ制トイレ、回収額過去最高に

北アルプス・上高地に、一回百円程度のチップを利用者に呼びかける水洗トイレが登
場して八年目―。昨年度の収入は約三千七百万円に上り、利用者の推計平均支払い額
(一人当たりの回収額)も四九・四円と、いずれも過去最高を記録した。

チップ制トイレは九四年春、環境庁(当時)が上高地バスターミナル近くに設置し、
自然公園美化管理財団に管理を委託。同財団は、このトイレを含め上高地に五カ所あ
る公衆トイレの清掃や補修など維持管理にかかる費用を、このチップ収入で賄ってい
る。

管理財団は「上高地の回収率は他の国立公園と比べて別格」と話す。環境省は富士山
や尾瀬などにもチップ制トイレを導入しているが、一人当たりの回収額は二十―三十
円ほど。上高地も設置初年度は三三・七円だったが、毎年度上がり続け、現在は利用
者の二人に一人が百円のチップを入れている計算だ。

環境省中部地区上高地自然保護事務所は「トイレがきれいな状態で保たれているた
め、観光客が協力する気になるのでは」と話している。

地元の南安曇郡安曇村が今年三月から、上高地浄化センターわきに造っている貯留槽
の建設費用の一部にもこのチップが使われる。流入量が昼食や夕食後の時間に集中す
るため、いったん貯留槽にためて利用の少ない夜間に処理するのが目的。村は「ス
ムーズに浄化作業を行うため、受益者負担という形で協力をお願いしている」とい
う。(8月21日 信濃毎日新聞)

ACHP編集部

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