チップ盗難 富士山のトイレの募金箱から相次ぐ 維持管理費用(毎日新聞)

富士山のトイレに設置された募金箱からお金(チップ)が盗まれる事件が相次いでい
る。チップは年間1000万円前後かかるトイレの維持管理費に充てられる登山者か
らの「心づけ」。その善意を踏みにじる行為に「何をしに山に来ているのか」と山小
屋などの関係者は怒りを隠さない。

し尿の垂れ流しが問題視される富士山では、国や環境NPO「富士山クラブ」が山頂
や静岡、山梨両県の5合目などにし尿を垂れ流さないトイレを設置。利用者には義務
ではないが100円程度のチップの協力を求めている。

ところが、山梨側5合目のトイレで1日昼、チップ箱から1000円札が1枚なく
なった。箱の底に隠すように張りつけておいた鍵を見つけて開け、札だけ抜き取った
らしい。トイレを管理する山小屋「佐藤小屋」主人の佐藤保さん(43)は「山登り
に来て金をとろうと思う人がいるとは思わなかった」とあきれ、鍵を小屋で保管する
ようにした。

静岡側5合目のトイレでは7月17日夕、二つのチップ箱の鋼鉄製シリンダー錠が
バールのようなものでねじ切られ、チップ約3万円(推定)が盗まれているのが見つ
かった。このトイレは昨年9、10月にも荒らされ、今年は南京錠を強固なシリン
ダー錠に換えていた。それでも盗まれたため、同トイレを管理する運営協議会は5合
目の臨時交番に被害届を出した。

山岳トイレの改善活動に水を差す不心得者に対し、静岡県富士山保全室は「一握りの
人の行為で、大勢の人の努力が無に帰しかねない」とマナーの徹底を呼び掛けてい
る。[毎日新聞8月5日]

ACHP編集部

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