上高地に帰化植物は似合わない 調査と抜き取り作業

帰化植物の増加が心配されている北アルプス・上高地(南安曇郡安曇村)で二十六
日、立教大学の学生たちが帰化植物の調査と抜き取りを行った。環境省と自然公園美
化管理財団が支援し、上高地では初めての作業。同省などは今後、同大生の活動を参
考に、地域住民らの協力を得ながら、帰化植物除去へ地道な取り組みを進める考え
だ。

作業したのは同大観光学部の「上高地公園活動学生ボランティアの会」の十七人。ボ
ランティア活動を通じ美化や環境保全を学ぶ狙いで発足、今年が二年目だ。

この日は環境省中部地区自然保護事務所、自然公園美化管理財団上高地支部の職員、
帰化植物の調査を続けている上高地パークボランティアの野溝美憲さん(49)=波
田中教諭=が、具体的な指導を行った。

ヒメジョオン、オオアワガエリ、カモガヤなど帰化植物の繁殖が著しい穂高橋、田代
橋付近を中心に、約五十キロの帰化植物を抜き取った。このうち、地面に落ちると発
芽する可能性のある花や実十キロ程度は焼却する。

会のリーダー・前田剛さん(22)は「日本を代表する上高地に、これほど多くの帰
化植物があるとは驚いた。私たちの会の活動が自然保護、環境保全の面で先進的な試
みになれば」と話していた。

国立公園内は自然公園法の規制を受け、植物の抜き取りなどに手をつけることが難し
い。が、今回の場所は第二種特別地域で、環境省の所管地だったため実現した。

帰化植物は、年間百数十万人にのぼる観光客に付着したり、土木工事で使う土に交
じって運ばれてくるのではないか、とされている。環境省上高地自然保護官事務所の
遠藤稔自然保護官は「高山地帯の生態系への悪影響が心配。除去は美化管理財団の業
務として行っていくが、地域やボランティアの手も借りて、息の長い活動ができるよ
うな態勢をつくりたい」としている。(7月27日 信濃毎日新聞)

ACHP編集部

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