「森の妖精」富山にいるよ 珍獣ニホンヤマネを指定種に 県が検討

岩手県で保護された珍獣のニホンヤマネ。ネズミなどの動物と勘違いする人も多いと
いう

世界的な珍獣で、国の天然記念物に指定されている「ニホンヤマネ」。北アルプス周
辺では以前から目撃されていたが、生息状況はよく分かっていない。このため、富山
県は県の記念物指定種リストへの追加を検討している。実態把握や保護を促すのが狙
いで、県文化財課は「鳥獣保護員やナチュラリストに、これまで以上に注意を払って
もらえると思う」と話している。

ニホンヤマネは、日本だけに生息し、どの科にも属さない一属一種のほ乳類として知
られる。リスやハムスターに似た動物で、「森の妖精(ようせい)」とも呼ばれる。
環境省のレッドデータブックで準絶滅危ぐ種になっている。

体長約7センチ、尾が約5センチで、体重は20グラム程度。夜行性で、樹木で生活
することや動きがすばやいことから、人目に触れることは少ない。トンボやカナブン
などの昆虫のほか、アケビ、などの木の実を食べる。本州、四国、九州に広く分布す
るものの、日本海側での採集例は極めて少ない。国は75年、生息地域を定めない天
然記念物に指定した。

55年11月、立山町の立山温泉で支配人の男性が、納屋の隅で眠っているのを見つ
けたのが、県内の捕獲例の最初とされている。その後も、木の伐採作業をしていた業
者から「リスに似た小さい動物を見つけた」という報告が県にあったほか、昨春には
立山高原ホテルで、洋室の隅に死んだヤマネが発見されていた。

しかし、ヤマネに関して、県が調査を行ったことはなかった。このため、関係者の間
で「山の愛好者にもヤマネを知る人は少ない。県のリストに入れて生息していること
を周知徹底してはどうか」という声が出ていた。

鳥類や動物の天然記念物は、本来、生息について「地域を定めず」となっているもの
が多いが、県は地元にゆかりが深いライチョウをはじめ、ニホンカモシカなど5種を
独自の指定リストに載せて手厚く保護している。

県文化財課は「ニホンヤマネをリストに加えることで、保護意識が高まり、正確な生
息分布の把握にも役立つのではないか」と期待している。 (06/22 asahi.com)

ACHP編集部

★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る