中学生は登山が嫌い? 学校登山が岐路に |
「二度と行きたくない」が三割―。県山岳総合センター(大町市)が、県内の小中学 生を対象に行った「野外活動体験実態調査」で、登山が中学生に最も嫌われていると いう結果が五日までに、まとまった。同センターは、家の中でのテレビゲームなど子 どもたちの生活様式の変化の結果と受け止めているが、教職員の集団登山研修会でも 「生徒が行きたがらない」との声が出るなど、学校の集団登山のあり方も岐路に立た されているようだ。 調査は、来年度からの学校完全週五日制移行をにらんで、児童や生徒の経験や意向を 探る狙いで実施。地域バランスなどを考慮して小中学校計二十三校を選び昨年十二 月、学校へ調査用紙を郵送、小学校は二、五年生、中学は二年生の合わせて八百四十 三人から回答を得た。 体験したことのある野外活動は、スキーが七五%で最も多く、続いてキャンプ六九 %、海水浴六五%。登山は六二%だった。登山を体験したきっかけは、八二%の児童 ・生徒が「学校行事で参加」と回答した。 登山をしてみての感想は、小学五年生では「またやりたい」が五六%、「二度とした くない」が八%なのに対し、学校登山を経験した中学二年生は「またやりたい」は一 九%に減少、「二度としたくない」が二九%と増えている=グラフ 中学二年生の登山以外の野外活動についての感想は、スキーが「またやりたい」六三 %、「二度としたくない」一一%。海水浴は「またやりたい」五九%、「二度とした くない」が五%で、登山との受け止めの違いが浮き彫りになっている。 同センターは五月二十四、二十五日に「学校集団登山研修会」を開催。中学、高校な どの教職員十八人が受講した。参加者からは「生徒も親も『登山は苦しい、怖い』と いうイメージを持っていて対応が難しい」(中信の教諭)、「参加しない生徒も増 え、行事として成立しにくくなっている」(南信の教諭)などの声が出た。 同センターの伊藤誠所長は「家の中でゲームを楽しむなど子どもの生活様式が大きく 変わっており、やむを得ない結果。ただ、その意義を考えると、学校登山をやめるわ けにはいかない。先生方が余裕を持って引率するなど、山の魅力を子どもたちに伝え る工夫を重ねるしかない」と話している。(6月6日 信濃毎日新聞) ACHP編集部