英国の登山家W・ウエストン 開祖たたえ村の魅力PR

芦安村 北岳初登頂から100年 今夏山開きで記念祭

英国人牧師の登山家ウォルター・ウエストン(一八六一−一九四○年)が南アルプス
の北岳(標高三、一九二メートル)に初登頂して来年で百年。これを記念し中巨摩郡
芦安村と夜叉神観光協会(名取昭三会長)は今年六月二十三日の北岳「お山開き」に
合わせ、南アルプス登山口の広河原・アルペンプラザでウエストンをしのぶ北岳登頂
百周年記念祭を行う。ウエストンが撮影した南アルプスの写真や昔使われていた登山
用品の展示などで歴史を振り返る計画で、同村は「ウエストンは“日本の近代登山の
父”と言われる人物。彼の偉業を多くの人に知ってもらいたい」と期待。記念祭を通
して同村の山岳文化の保存、発展を図り、村の新たな魅力づくりにつなげたい考え
だ。

文献などによると、宣教師として来日したウエストンは一九○二年、芦安村役場を訪
れ、南アルプスの登山案内を依頼した。当時、南アルプスは「神聖な霊山」としてあ
がめられていたため、村民は「外国人に山を汚されてしまう」と入山を拒んだ。

しかし、当時の名取運一村長が紳士的なウエストンの態度に感銘し、村民たちを説得
して回った。村民も納得し、清水長吉ら三人を案内に付け、北岳の登頂をサポートし
た。ウエストンは登山の様子を英字新聞などで紹介している。

アルペンプラザ広河原の前庭を会場に行われるイベントは「ウォルター・ウエストン
北岳登頂百周年記念南アルプス2001開山祭」と題して行う。記念式典では「南ア
ルプスの開祖」とされているウエストン、天野久元山梨県知事、名取元村長の三人が
並ぶレリーフに献花。芦安中生徒が「北岳の歌」「雪山賛歌」などを合唱するほか、
今シーズンの登山の安全を祈願する。

アルペンプラザ内では、ウエストンが残した貴重な山岳写真をはじめ、南アルプス林
道開通までの足跡を紹介する写真、昔使われていた登山用具などを展示。名取元村長
の子孫も紹介する。

また、キタダケソウが見ごろになるため、関連行事として南アルプスを生かした村づ
くりを探っているボランティアグループ・芦安ファンクラブが一泊二日のキタダケソ
ウ観察登山を企画。会員がガイドを務め、高山植物の保護などもアピールする。

北岳の「お山開き」は七月一日が慣例になっていたが、富士山の「お山開き」と日が
重なっていたため、当日の登山者数は少なかった。今回、キタダケソウの開花時期も
考慮して前倒ししたことで、登山者増も期待している。

同村の清水哲夫村長は「村は山とともに生きてきた。国立公園計画が見直される時期
でもあり、山とのかかわりを見直す方策を探っている。ウエストン登頂百年祭はその
一つであり、村が育ててきた文化を保存し、振興することで村の魅力を育てていきた
い」と話している。(5月22日 山梨日日新聞)

ACHP編集部

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