北極点から故郷の愛媛県瀬戸町を目指す冒険の途中、北極海の氷原で消息を絶った冒
険家河野兵市さん(43)について、遠征隊事務局(松山市)は22日朝、空から捜
索していたカナダ空軍から「生存の見込みがない」と捜索打ち切りの通告があったこ
とを明らかにした。空軍が22日午前1時半ごろ(現地時間21日午前11時半ご
ろ)、現地警察を通じてカナダ・レゾリュートのベースキャンプに伝えた。事務局は
外務省などを通じて続行を要請する一方、独自にチャーター機を飛ばし、氷上で見つ
かった河野さんのそりの状態などを確認した。
事務局によると、カナダ空軍はこの日、上空から3回目の捜索を予定していた。しか
し「上層部の会議の結果」として、ベースキャンプに捜索打ち切りを伝え、飛行機も
飛ばさなかった。また、現地警察もそりの回収などを検討したが、引き揚げ作業が危
険なため「不可能だ」と連絡してきた。
事務局は、捜索の続行をカナダ側に交渉するよう、外務省に要請。ベースキャンプで
も、在カナダ日本大使館に同様の要請をした。
また、事務局のチャーター機は22日午前4時(同21日午後2時)、日本人スタッ
フ1人を乗せてレゾリュートを出発。河野さんが目指していたカナダ・ワードハント
島の避難小屋に向かったが、天候が悪く着陸を断念した。その後、そりが見つかった
場所に向かい、上空からビデオ撮影をした。
捜索断念の知らせを受けた事務局は、22日未明から関係先との連絡に追われた。後
藤東二事務局長(55)は「一方的に捜索断念を伝えられた。約束が違う」と困惑を
隠せない。「連絡が途絶えて丸5日。いくら体力のある河野さんでも危険な状態だ。
なるべく早く見つかってほしい」と話した。(5月22日 11:33 asahi.com)
河野さん、シロクマに襲われる?−懸念する冒険仲間
冒険家の河野兵市さん(43)が北極海で消息を絶って5日たった22日、カナダ空軍
の捜索は打ち切られ、河野さんと親しい冒険仲間は、生存を信じながら厳しい状況に
心配を募らせている。北極点にバイクで到達した経験を持つ冒険家の風間深志さんは
ことし3月、東京都内で開かれた壮行会で河野さんを見送った。風間さんが懸念する
のはシロクマによる襲撃。「一歩一歩、氷の厚さを確認するストックを体から離して
いたことが気になる。あるとすれば、とっさに銃を持たなければならなくなった時
だ。クマの足跡を追っていたとの説があるが、本当なら心配。陸から70キロくらい
ならシロクマはいる」と語る。(5月22日 共同)
ACHP編集部
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