「森林の世紀」を宣言
天皇・皇后両陛下が記念植樹
第五十二回全国植樹祭記念式典が二十日、「伝えたい 森のやさしさ あたたかさ」
をテーマに、北巨摩郡須玉町の瑞牆山ろくのメーン会場で、天皇・皇后両陛下をお迎
えして開かれた。県内での開催は一九五○年の第一回以来五十一年ぶり。県内外の林
業、環境団体の招待者を含め、約七千五百人が参加した。両陛下がイロハカエデなど
を記念植樹され、参加者が会場周辺の森林内にさまざまな樹種の約五千本の苗を植樹
した。新世紀最初となる植樹祭の式典では、二十一世紀を「森林の世紀」と位置付
け、(1)持続可能な森林経営を確立する(2)新たな木の文化創造に努める−など
と大会宣言。緑の大切さを訴えるアトラクションなどを繰り広げた。
午前十一時すぎ、両陛下が入場されて記念式典が開幕。大会会長の綿貫民輔国土緑化
推進機構会長(衆院議長)が「次世代を担う青少年に積極的な森づくりへの参加を期
待する」とあいさつ、天野建知事は「人と自然の共生を目指す森づくりが、全国に世
界に広がることを願う」と語った。
天皇陛下は「森林育成への思いが、世代を超えて受け継がれていくことが願われま
す。望ましい森林の在り方について、ともに考える契機となることを希望します」な
どと述べられた。
記念植樹では、天皇陛下が県木のイロハカエデや、イチイ、ミズナラを、皇后陛下が
県花のフジザクラや、カラマツ、シラカバを、須玉小緑の少年少女隊の介添えを受け
ながら、一本ずつ丁寧に土をかけて植えられた。また特設のお手まき所に、ヒノキ、
スギなど四種類の種子をまかれた。
天皇陛下は、植樹に使ったくわが、山梨での第一回植樹祭で植えられたヒノキから作
られたことに、強い関心を示された。また晴天に恵まれ、瑞牆山がきれいに見渡せた
ことにも満足そうな様子だったという。
式典を盛り上げるため、須玉小四−六年生と洋舞団体メンバーの計約二百人による、
絵本「葉っぱのフレディ」を題材にした創作アトラクションや、恩賜林九十周年を記
念した映像上映や音楽演奏などが披露された。創作アトラクションでは、小学生が季
節で移り変わる葉の姿をパネル百枚を使って表し、踊りと組み合わせて、新緑から落
葉、土に返って新たな命を芽生えさせる「命の循環」を表現した。
このほか、緑化功労者、国土緑化運動・育樹運動ポスター原画コンクール入賞者や全
日本学校関係緑化コンクール入賞校などを、武部勤農水相、遠山敦子文部科学相らが
表彰。天野知事への記念切手贈呈などがあった。
全国植樹祭は四月二十九日、メーン会場で開かれたプレ植樹祭「森と木のフェスティ
バル」で開幕。中巨摩郡白根町と南都留郡鳴沢村の二カ所のオープン会場で、一般参
加型の各種イベントを展開してきた。記念式典で二十二日間の全日程を終了し、大会
シンボルを次回開催地の山形県に引き継いだ。
両陛下は式典の後、須玉町農村総合交流ターミナルに立ち寄られ、施設内の森の図書
館で開かれた「葉っぱのフレディ」の訳者・みらいななさんの朗読会などを見学し
た。(5月21日 山梨日日新聞)
ACHP編集部
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