ニペソツ山で山開き中止 観光と安全重視し

【上士幌】東大雪山系最高峰ニペソツ山(二、○一二・七m)への登山道を持つ十勝
管内上士幌町は、毎年六月に行ってきた「山開き登山会」を今年から中止する。安全
と環境保護に考慮して決めた。代替策として、山の環境を考えながら自然を楽しむ行
事が計画されている。登山客に人気のある山で山開きを中止するのは珍しい。

ニペソツ山は一九九九年刊行の「百名山以外の五十名山」(深田久弥著)で表紙を飾
り、最近急速に人気が高まっている。昨年は山開きの日に約百五十人が列を連ねて登
山した。

しかし、参加者が増えるにつれトイレの対応が難しくなってきたほか、登山道の荒廃
など環境悪化も進んだ。十分な登山技術を持たない参加者も増えたことから、同町は
「山開きには十人のスタッフが同行していたが、これだけでは安全を確保しきれな
い」と町主催の山開きの中止を決めた。

ニペソツ山は山頂から南北に伸びる稜線(りょうせん)と、切り立った岩壁が突き上
げる秀峰。高山植物、ナキウサギなど豊かな自然が残る山としても知られる。

同町は山開きの代わりに、これらの自然環境を考えながら山登りを楽しんでもおうと
「山岳写真コンテスト」を企画。また、町内の民間非営利団体(NPO)法人の東大
雪自然ガイドセンターが六月二十四日、定員を十五人に絞って環境を考える登山会を
開く。

道山岳連盟は「観光振興のため山開きを始める自治体が増える中、この取り組みは先
進的」と高く評価している。町商工観光課は「自然保護と安全のための措置なので、
理解してほしい」と話している。
(5月14日 北海道新聞)

ACHP編集部

★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る