8日に登山規制緩和を持ち越したまま開山した浅間山(2568メートル)をめぐ
り、小諸市は9日、専門家で構成する「浅間山規制調査検討委員会」を今月18日に
も招集し、規制緩和を求めていくことを明らかにした。背景には、市の活性化のため
早急に観光客を呼び戻したいとの意向がある。新幹線停車駅の誘致失敗や信越線特急
の廃止、隣接する佐久市のショッピングセンターの発展などの影響で、小諸市内の商
店街や宿泊施設は深刻な打撃を受けており、浅間山の規制緩和による観光客の誘致に
対する期待は大きい。
規制緩和をめぐっては、軽井沢測候所が「時期尚早」として慎重な対応を求めている
が、小諸市は早期実現に積極的な姿勢を崩していない。「浅間山規制調査検討委員
会」で規制緩和の最終的な理解を得た上で、周辺市町などで作る「浅間山火山対策会
議」に諮り、今夏には緩和に持ち込む方針だ。
小諸市から通じる登山道は現在、火口付近2キロまで行くことが出来る。同市はこれ
を火口から約500メートルにある外輪山の前掛山山頂まで規制緩和するよう求めて
いる。内藤夏雄・同市観光協会長は、この規制緩和で登山道が往復でおよそ倍の計約
8キロに延長されると、市内に宿泊する登山客が年間約30万人増えると試算する。
「滞在型の観光地となり、商店街にも客足が伸びる」(内藤協会長)というわけだ。
市商工観光課などによると、観光名所の1つの懐古園ですら、91年に168万人
だった観光客が00年には74万人と半分以下に激減した。また、91年には741
軒あった商店が6年間で139店も減るなど、市経済界の危機感は強い。
こうした状況に追い打ちをかけたのが昨年9月の浅間山の火山活動だった。小諸市の
要望で規制緩和への動きが進んでいた矢先だった。軽井沢測候所によると、4月の浅
間山の火山活動は、「比較的活発な状態」で噴煙の量も「やや多い状態」だったが、
火口から南2キロ地点で火山性地震が903回を記録。同測候所は「火山の噴火を完
全に予測することは難しい。活火山である以上、慎重な対応は常に求められる」と
し、結果的に規制緩和は行われないまま、8日の開山を迎えた。
小諸市が火山専門家ら7人を委員に迎えて設置した調査検討委員会は、浅間山が危険
な山であることを登山者に認識させる必要性を指摘し、自己責任を重視させた上で、
規制緩和に向けて火山ガスの調査や避難壕(ひなんごう)の設置など9項目の条件を
示した。同市ではこれらの条件を満たしたとして3月21日、浅間山火山対策会議で
規制緩和の早期実施を求めた。しかし、測候所の慎重姿勢と小諸市の積極姿勢が平行
線をたどり、警察や消防、他市町からの活発な発言がない中、結論は先送りされた。
小林俊弘市長は「準備は整った。6月にも規制緩和を実現させたい」と話している。
(5/9 asahi.com 長野版)
ACHP編集部
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