雪のGW、信州混乱 観光客びっくり、農家は心配顔

「この時期、こんなに積もるなんて…」。四連休初日の三日、県の中部の山沿いを中
心に降った大雪で、書き入れ時を迎えた高原の観光業者は除雪作業に追われた。観光
地に通じる国道や県道の一部も次々と通行止めになり、入り込みにダメージも。大き
な事故はなかったものの、「信州の春」を楽しみに車で訪れた観光客からは、考えて
もいなかったチェーン装着作業にため息が漏れた。高原野菜の産地では畑の苗を心配
する声も上がった。

観光シーズン本番を迎えた諏訪地方。三十センチ以上積もったという諏訪市霧ケ峰の
ホテル経営者(62)は「まさかこの時期に雪かきをするなんて」と戸惑いながら敷
地の除雪作業。約二十五センチの積雪の茅野市白樺湖畔のペンション経営井上昭さん
(35)は「雪が湿って重いので除雪機では飛ばない」とスコップを握った。前橋市
から車で来た岡本雄一郎さん(27)は道路わきでチェーンを取り付けながら、「彼
女と信濃路の春を楽しもうとやって来たら、春どころではなかった」と苦笑いを浮か
べた。

休日の予定変更を迫られた人も。車山に登ろうと前夜から霧ケ峰に宿泊していた千葉
県柏市の佐橋省三さん(60)は「今朝、窓を開けてびっくり。雪は予想していな
かった」と登山を断念。妻の美智子さん(59)は「思わず雪見の旅になりまし
た」。

南佐久郡八千穂村の八ケ岳登山道入り口の駐車場には、国道299号の通行止めが正
午に解除された後、チェーンを装着した乗用車が続々と到着。登山客は雪に戸惑いな
がら身支度を整えた。

近くで山荘を経営する辰野広吉さん(58)は「四年に一回程度、この時期にも降雪
はあるが、こんなに降るのは珍しい」。従業員は「今年は雪が多く、まだ解けていな
いのに、さらに積もってしまった」と困惑していた。

県内有数の高原野菜の産地、同郡南牧村野辺山ではレタスの苗を植え付けたばかり。
畑に積もった約二十センチの雪は午後までに半分ほどが解けたが、ある農家は「根が
張らないうちにこの雪では、根づくかどうか」と心配そうだった。

県警によると、この雪の影響で、国道152号が茅野市と上伊那郡高遠町境の杖突峠
で、国道299号も南佐久郡八千穂村と茅野市境の麦草峠で、ともに早朝から約四時
間通行止め。国道142号の和田峠、国道152号の大門峠も一時通行止めになっ
た。中信地方では南安曇郡安曇村の県道乗鞍岳線と同郡奈川村の県道奈川野麦高根線
が一時通行止めに。JR東日本長野支社によると、小海線は上下計十本に最大四十分
の遅れが出た。(5月4日 信濃毎日新聞)

ACHP編集部

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