「ニセコ山の家」が宿泊部門を休止

【ニセコ】戦前から多くの登山客らに親しまれてきた後志管内ニセコ町・五色温泉に
あるJR北海道の「ニセコ山の家」が、三月末で宿泊客の受け入れをやめる。同社の
の唯一の直営宿泊施設だが、赤字経営のためだ。今後は夏の間だけ、日帰り入浴の営
業を行うが、泊まれなくなることに常連から惜しむ声も多い。

ニセコ山の家は、旧鉄道省札幌鉄道局が一九三七年(昭和十二年)に開設。戦前に札
幌が冬季五輪開催地に決まったことから、スキー競技の代表候補が大勢いた同局が、
選手の練習拠点として山小屋を建てたのが始まりという。

その後「国鉄ニセコ山の家」となり、七四年に全面改築された現在の建物は、鉄筋コ
ンクリート三階建て延べ二千三百五十平方m。二十八室あり、約百人が泊まれる。

温泉は、向かいの「ニセコ五色温泉旅館」と同じ泉源で、湯温六一・五度、毎分百
リットルのゆう出量を誇る硫黄泉。八七年に新設された露天ぶろも人気を集め、宿泊
客はピーク時の九一年度で延べ一万人に達した。

しかし、維持費などがかさみ、経営は赤字続き。宿泊客も徐々に減り、本年度は延べ
七千人を割り込む見通し。このため同社は宿泊部門とレストランの休業を決めた。両
部門の再開のめどは立っていないという。

三十五年ほど前から、山スキーに毎年訪れている東京都内の弁護士豊嶋福之さん
(69)は「食事がおいしいうえ、従業員の接客も良く、モダンなところが魅力だっ
た。五月の連休にも行こうと思っていただけに、残念でならない」と話す。

今後は浴室を修理し、六月一日から日帰り入浴施設として再開。十月末まで続ける。
問い合わせは山の家(電)0136・58・2611へ。(3月29日 北海道新聞)

ACHP編集部

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