ローツェ南壁に挑む 12月日本山岳会東海支部隊 烈風・酷寒、冬は未登攀
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ヒマラヤ屈指の大岩壁として知られる世界第4位の高峰ローツェ(8,516メート
ル)南壁の冬季初登攀に、今年12月、日本山岳会東海支部隊=田辺治隊長(40)
ら9人=が挑む。
ローツェは世界最高峰のエベレスト(8,848メートル)の隣に聳える。垂直に見
える南壁は取り付き地点から頂上まで標高差3,300メートル。8千メートル峰全
14座の登頂をすべて無酸素の速攻で成し遂げたラインホルト・メスナー(イタリ
ア)が、かつて「21世紀の課題」とした難攻不落の大岩壁だった。
1990年5月にスロベニアのトモ・チェセンが単独、無酸素で45時間20分とい
う速攻で初登攀したとされる。同年秋、17人のソ連隊が南壁の別ルートから登頂を
果たした。
しかし烈風と酷寒の悪条件が重なる冬季の登頂はいまだに誰も成功していない。
田辺隊長は93年のエベレスト南西壁冬季初登攀や、97年夏にK2(8,611
メートル)西面の新ルートから登頂に成功するなど第一線で活躍している。隊員もヒ
マラヤ経験豊富な顔ぶれが揃った。
12月初旬に登山活動に入り、上部の岩場をのぞきほぼトモ・チェセンのルートをた
どる。チェセンは一部で登頂を疑われているが、もし頂上直下で打ち込んだとしてい
るハーケンが見つかれば、真偽論争にピリオドが打たれるだろう。
5,200メートルをベースキャンプに、6,400メートルに第一キャンプ、7,
350メートルに第二キャンプ、8,100メートルにアタックキャンプとなる第三
キャンプを設営する予定だ。第二キャンプ以上で酸素を使う。
第三キャンプ上部の超高所での岩登りに非常な困難が予想されている。81年春の
ユーゴ隊は、この岩場で強風に阻まれて登頂を断念している。
例年、年末にはジェット気流が吹き荒れ始めるため、クリスマス以前の登頂が目標
だ。田辺隊長は「強風による落石や落氷に遭遇しないよう、スピーディに登りたい」
と話している。(2月24日 朝日新聞朝刊)
ACHP編集部
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