俗化防ぎ自然保護
大山町の有峰湖周辺の有峰県立自然公園を環境教育や自然文化の拠点にしようと、県
や大山町などは「有峰森林文化村構想」を進めている。有峰ダムで水力発電を行う北
陸電力や学識経験者らで構成する「同文化村基本構想検討会」(会長・石坂誠一富山
国際大学長)はすでに二回の会合を開催、三月下旬の次回会合で素案をまとめる予
定。いかにして、観光客による俗化を防ぎ、動植物の宝庫・有峰を残していくか
――。県などは、観光客でにぎわう立山とは違った自然観光拠点のモデルケースとす
ることを目標に、二〇〇二年度の“開村”を目指している。(花村 茂寿)
【現 状】
有峰湖は北アルプス薬師岳登山道の入り口にあたり、周辺には、大山町と岐阜県神岡
町を結ぶ有料の有峰林道が走る。年間十万人以上が訪れる。
一方で、山菜採りや釣りなどのレジャー客が、植物を踏み荒らすケースが目立つ。林
道が雑誌などで紹介されることも多く、ツーリングにやってきた車が、林道以外の林
や荒れ地を走り回ることも懸念されている。販売目的で、天然記念物のギフチョウ採
取にやってくる悪質な業者もいるという。
周辺の森林はどのみち、「水源や環境保全のために、手入れを続けなければいけな
い」(県治山課)存在だ。
【課 題】
有峰林道は昨年から、大型バスの通行が可能になり、昨シーズン(六月一日―十一月
十二日)の通行台数は、前年を上回る約六万六千台に達した。
ただ、訪れても、ダム展望台から湖畔を眺めるだけで、周辺の遊歩道に足を踏み入れ
る人は少ない。また、周辺の動植物を紹介しているビジターセンターや、宿泊施設の
有峰青少年の家の利用者が少ないといった問題もあり、県は「受け入れ施設の工夫や
改善も必要」と指摘する。
【模 索】
このため県は文化村構想の中で、森林管理やマナー違反に目を光らせ、自然破壊行為
に対しては指導や取り締まりを行う「有峰森林レンジャー隊員」の創設を提案してい
る。
また、遊歩道を散策してもらうため、動植物に詳しい人や、ダム湖に沈んだ有峰村の
歴史に詳しい人など、「有峰の語り部」の委嘱なども検討している。インターネット
を含め、有峰の良さを伝える方法も模索していく。
<有峰県立自然公園> 北陸電力が水力発電を行う有峰湖周辺が指定されており、県は
そのうちの七千三十五ヘクタールを管理する。湖を挟んで、大山町と岐阜県神岡町と
を結ぶ有峰林道と森林の維持、管理は、林道通行料や、北陸電力と県からの支援を財
源とする県有峰森林特別会計で賄われている。
(2月26日 Yomiuri On-Line 北陸版)
ACHP編集部
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