富士山有料道路 法定外目的税の導入提唱 県検討委 料金徴収継続で意見集約
環境保護の財源確保
二○○五年に料金徴収期限を迎える富士山有料道路(富士スバルライン)の今後の在
り方を協議している山梨県の「富士スバルライン将来活用検討委員会」(会長・三浦
康彦山梨学院大教授)は二十九日、富士吉田・ホテル鐘山苑で第四回委員会を開き、
提言案をまとめた。自然環境の悪化を防ぐため通行車両を抑制し、また環境保護策の
財源を道路利用者(受益者)の負担を求めて確保するという考え方から、期限後も引
き続き、利用者に経済的負担を求めていくべきだと意見集約した。徴収の方法として
は、富士山環境保全のためという目的をはっきりさせるために法定外目的税が望まし
いとした。二月上旬にも天野建知事に提言書を提出する。
委員会は、過去三回の議論をもとに無料開放後のスバルラインについて、歯止め策を
施さなかった場合は、年間平均交通量が現在の約三割増の五十六万台程度になると予
測。「渋滞悪化、自然環境への影響が懸念され、通行車両、来訪者数を適正水準に誘
導するため道路利用者に一定の経済負担を引き続き求めることが必要」との結論に達
した。
利用者からの負担徴収の方法としては(1)法定外目的税(2)特定地域への乗り入
れに課金する「ロードプライシング」(3)管理有料道路制度の導入(4)五合目周
辺駐車場の有料化−が選択肢に挙がっていたが、「単なる利用の分散・抑制策にとど
まらず、富士山保全策への財源確保という目的の明確化、利用者マナー向上などの効
果も期待できる」などの理由で法定外目的税の導入が望ましい、とした。
ただ、法定外目的税導入にあたっては(1)「道路の無料公開原則」との整合性の確
保(2)現行料金(普通車往復二千三百円)を基準にした適正な税率設定(3)低公
害車への優遇税率の導入−などを今後検討を要する課題として示した。
このほか、○五年六月六日となっている料金徴収期限について「管理形態を変更する
場合、観光シーズン直前では観光客らに混乱を招く」として、年度末など区切りのよ
い時期への変更を検討するよう提言に盛り込む。
この日の論議では「少額の課金で環境問題は解決しない。ディーゼル車など車種を制
限していくことが重要だ」(流石喜久巳委員)と料金徴収の継続に一部反対意見も
あったが、大勢が料金を継続して徴収することによる通行車両の抑制・分散策を支持
し、委員会提言として集約した。
また、法定外目的税による徴収について「新税は従来の料金体系よりも低く設定する
べきだ」(小佐野常夫委員)との意見や、「導入してから一定期間が経過した段階で
再び(将来活用を)検討していくことも必要」(武川勉委員)と、観光振興と環境保
全の両立などに関して総合的な検討の継続を求める意見も出た。(1月30日 山梨日日
新聞)
ACHP編集部
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