東農大山岳部3人不明/安否気遣う家族ら

北アルプス・蓮華岳(標高2,799メートル)から入山して消息を絶っている東京
農業大四年生若山紘一さん(22)=東京都世田谷区=ら山岳部員3人の捜索が、9
日から県警や大学の山岳部OBらによって夕方まで続けられた。しかし、有力な手が
かりは見つからなかった。3人の家族も大町市に駆け付けて安否を気遣いながら捜索
の行方を見守っていた。大町署によると、行方不明になっているのは、若山さんのほ
か、横浜市青葉区、同大2年浜田純子さん(20)、埼玉県上尾市、同大1年引間賢
一さん(20)。

若山さんら3人は先月24日に蓮華岳から入山して同31日に下山する計画だった。
日程が遅れた場合も今月9日までには戻る予定で、予備日の分も含めて食料と燃料は
十分に持っており、無線も携帯している。だが、入山後一度も山岳部に連絡が入って
いないという。

この日、県警は午前と午後の2回、ヘリで捜索した。3人が計画していた登山ルート
に沿ってヘリを飛ばし、蓮華岳や北葛岳、不動岳などの山頂付近では旋回しながら拡
声機で呼びかけた。また、ルート上にある針ノ木、船窪、烏帽子(えぼし)の各山小
屋では中に入って使用されたかどうか調べたが、遺留品などは見つからなかった。大
学山岳部OBらも民間ヘリをチャーターして約一時間半、行方を捜した。岐阜県内ま
でヘリを飛ばしたが、有力な手がかりは発見できなかった。捜索に合わせて、3人の
家族も大町市に駆け付けた。引間さんの両親は、OBの乗り込んだヘリの帰還を同市
常盤のヘリポートで待っていた。戻ってきたOBの1人に「テントを張った跡も見つ
からなかった」と聞かされ、2人とも無言のまま目を真っ赤にしていた。

山岳部OBの吉田裕一さん(30)は「3人は春から練習を積んできた。若山君の経
験からすればそう困難ではないルートのはず。必ず無事だと信じたい」と話してい
た。県警では10日も、天候の様子を見ながら、ヘリによる捜索を実施する予定。山
岳部も、OBらが尾根沿いを歩いて3人が持つ発信器を頼りに捜索する予定を立てて
いる。(1/10 asahi.com )

ACHP編集部

★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る