富士山有料道路 料金徴収「期限後も継続」 検討委で大勢 環境保全の財源に
二〇〇五年に料金徴収期限を迎える富士山有料道路(富士スバルライン)の今後の在
り方を協議している山梨県の「富士スバルライン将来活用検討委員会」(会長・三浦
康彦山梨学院大教授)は十五日、甲府・ホテル談露館で第三回委員会を開いた。道路
を無料開放すると「通行車両が増え、自然環境破壊などの影響が生じる恐れがある」
として、料金徴収期限後も歯止め策が必要との考えで一致。通行車両の分散・抑制、
一帯の自然環境保護策を講じるための財源確保の両面から、何らかの形で料金徴収を
続けるべきだとの意見が大勢を占めた。委員会はこの日の会議の内容をもとに早けれ
ば一月下旬にも最終の委員会を開いて意見を集約、天野建知事への提言としてまとめ
る。
委員会は昨年十月に開かれた初会合で富士スバルラインの利用状況など現況把握を行
い、第二回で無料開放された場合に懸念される影響・課題を整理。その結果、通行車
両の増加に伴う渋滞や排出ガス、騒音、路肩などへの違法駐車、ごみ・し尿量の増加
のほか、財源不足による現在の道路維持管理レベルの低下などの問題が挙げられた。
この日は課題・影響への対応策について協議した。通行車両の増加対策が軸となり、
議論の土台として事務局の県総合政策室は「利用者(車両)を分散・抑制することが
望ましい」との考えを示した上で具体的方策として(1)相乗りの奨励など乗車人数
の規制(2)利用者への課金(料金徴収)(3)通行規制を伴うパークアンドバスラ
イドの導入−などの選択肢を挙げた。
さらに県側は料金徴収する場合に考えられる方法として(1)法定外目的税(2)特
定地域への乗り入れに課金する「ロードプライシング」(3)管理有料道路制度の導
入(4)五合目周辺駐車場の有料化−を示した。
これに対し委員からは「道路や周辺環境を維持していくには財源が必要。それには利
用者に負担してもらうのが望ましい」「観光道路としての利用促進と環境保全のため
に入山料にあたる何らかの料金徴収が必要」「利用者が膨らみ過ぎると取り返しがつ
かない環境悪化を生む可能性がある。秩序ある利用を促すべきだ」などと、通行車両
の抑制と併せ、総合的な富士山環境保全への財源確保のため、期限後も何らかの形で
料金徴収を継続すべきとの意見が相次いだ。
また料金徴収方法についての意見では(1)海外のロードプライシングや国内での検
討例は渋滞緩和を主目的としていて、環境保全財源を確保するためではない(2)管
理有料道路制度は国内で二カ所しか前例がなく国の許可を得られるか不透明(3)五
合目駐車場の有料化は利用抑制に効果が薄い−などから、法定外目的税導入を求める
声もあった。
一方で「料金徴収を継続すれば環境保全などの問題がすべて解決するわけではない。
道路無料公開の原則を守り、有害な排出ガスを出す自動車そのものの規制、新交通シ
ステムの導入などを検討すべきではないか」(流石喜久巳委員)と、料金徴収に難色
を示す意見も一部にあった。
また、富士山観光の活性化と環境保全を両立する県のビジョンや公共政策がないとし
て、料金徴収の是非の検討にとどまらず、幅広い観点から検討の継続を求める声も
あった。(1月16日 山梨日日新聞)
ACHP編集部
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