だれでも出来る救命方法、全国統一基準がまとまる 救急医療財団委、近く報告書
身近な人が目の前で意識を失い倒れた時、医療者でなくても救命できる心肺蘇生(し
んぱいそせい)法(ほう)の全国統一基準がまとまり、今月末にも報告書が出ること
が10日、明らかになった。これまでは指導する団体によってまちまちで混乱してい
た。新基準は、昨年、米国心臓学会が近年の科学的研究に基づき新たに作ったガイド
ラインに沿いつつ、日本の法律や疾病構造などに合わせる工夫をした。これまでの方
法から大幅に変わった点もある。
最も大きな変更は、口対口人工呼吸の呼気の吹き込み量。これまでは「800ミリ
リットルから1200ミリリットル吹き込む」とされ、救助者が精いっぱい吹き込む
感じだったが、この量だと多すぎて、患者の胃に空気が入って吐いたり、過換気状態
になったりする危険があることが分かった。新たな統一基準では「体重1キロ当たり
10ミリリットル」。体重60キロの人で600ミリリットルと、約半分になった。
軽く吹き込む感じになる。
このほか、首の脈を確認しなくていい▽口対口の人工呼吸ができないときは、心臓
マッサージだけでもいい――など、簡単にできるように工夫した。
新基準をまとめる日本救急医療財団の心肺蘇生法委員会(委員長=小濱啓次・川崎医
大教授)には、心肺蘇生法の普及にかかわる各学会や日本赤十字社、消防など行政機
関が参加。今月下旬に開かれる会議で統一案を承認し、3月に冊子を出す予定。
◇ ◇
◆主な変更点(カッコ内が従来の基準)
・口中の確認をする前に人工呼吸(人工呼吸前に口中を確認)
・心臓マッサージは1分間に100回(80−100回)
・心臓マッサージ15回につき、人工呼吸2回(2人組でする場合は5回につき1
回)
・心停止を首の脈で確認不要(確認が必要)
・口対口人工呼吸ができない場合、心臓マッサージだけでもいい(両方行う)
(1月4日 朝日新聞 朝刊)
ACHP編集部
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