2001年度政府予算の大蔵原案で、県内では野生サルの行動調査や、北アルプスの
登山道整備などが来年度から行われることが決定。「環境立県」を目指す本県にとっ
て大きな前進となった。21日から各省庁の復活折衝が始まったが、県の重要要望事
項38件のうち34件が確実、有望となり、復活要求は2件だけ。福岡隆・県企画部
長は「早い段階で決まり、世紀末が非常に輝かしくなった」と喜びを表した。
◆野生サル調査
来年度から県東部の十市町で、野生サルの群れの分布調査や行動調査を行う。農作物
被害が続いているためで、県が主体となり来年度から3年をかけ、サルに首輪型発信
機を取り付けて調査する。県は「ニホンザル保護管理計画」(仮称)を策定し、個体
数の調整や人里に下りてこないような環境整備を目指す。
同様の調査は、既に朝日町と宇奈月町で行われているが、さらに広範囲で調査する。
県自然保護課は「農作物への加害群を特定し、行動パターンが分かれば、群れが襲来
する前に予防できる」としている。
サルの被害は昨年度、果樹やイモ類など計41ヘクタール、約705万円に上った。
内示では、県の調査事業費1000万円のうち500万円を国が負担する見込みに
なった。
◆登山道整備
中高年を中心とした登山ブームで登山道などの荒廃が進む中、北アルプスの人気コー
スの一つ、折立(標高1350メートル)―北ノ俣岳(同2261メートル)間で約
七キロの登山道の整備が始まる。
環境庁の「日本百名山登山歩道整備事業」の一環。県内事業費5000万円のうち2
500百万円に国補助がつく見通しとなった。予定期間は約5年で、来年度は、太郎
平(同2300メートル)―北ノ俣岳間が整備される。
整備では、流水などのために浸食された登山道に石を敷き詰めたり、木道を取り付け
たりする。高山植物自生地などが荒廃している個所では植生復元も行う。遭難防止の
ため、目的地までの距離や方向を示す案内標識も設置する予定。
◆登山者トイレ
北アルプス立山の一ノ越(標高約2690メートル)に、し尿を微生物で分解する簡
易水洗式の公衆トイレが設置される。1968年に建てられた現在のくみ取り式トイ
レが老朽化したため。
一ノ越は、室堂から立山(雄山)、薬師岳への分岐点で、1シーズン約5万人が訪れ
る。県自然保護課によると、ピーク時には1日約1500百人が利用する。
高地で、十分な水や電気の供給が難しいため、新トイレは、雨水を利用し、水洗のた
めの動力は太陽光を利用。し尿を酵素と土壌の微生物で分解し、その処理水を半永久
的に再利用する「循環型」にする。自然にやさしく、悪臭も解消、これまでし尿のヘ
リコプター搬送(1回につき300―500万円)にかかっていた費用も節約でき
る。
県は、事業費1億7000万円のうち、国から8500百万円の補助を希望。同様の
土壌式循環型トイレは南アルプスの山小屋にあるが、公衆トイレでは県内初。(12月
22日 Yomiuri On-Line 北陸版)
ACHP編集部
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