コンテニュアスクライミング(Simul Climbing)中の確保について
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岡田@YCCです。
アルパインをやって7〜8年になりますが未だにコンテで行動中に片方が落ちた場合の確保方に確かな答え
が見出せないでいます。
世間の俗説を並べてみますと
1)手に持ったザイルのループの真ん中にピッケルのシャフトを打ち込み(雪山の場合)ザイルがゆっくり
締まっていく過程での制動力で墜落者の確保を行う。
2)雪稜の場合落ちた人間の反対側に身を投げ確保を行う。
3)タイトロープで対処。
等等いろいろあるんでしょうが、1)の技術は実際に役に立つとは思えませんし、2)は例えば剣の八ツ峰
のような典型的な雪稜だったら確かにとまるでしょうがタイミングを一瞬でもあやまれば反対側に落ちた自
分が致命的な傷を負ってしまう訳でこれをやらなければ確実に自分も死ぬといった場面でしか使えず、これ
は技術とは言い難く、3)はガイドが客を連れての登山で使用されているようですが対等な力量を持った者
同志で登る一般的なアルパインの条件では使えません。
これらに対して自分で採用して(しようとして)いるのが、吉尾さんに教えてもらった方法に自分なりに工
夫をこらしたもので具体的には次の内容になります。
1)普通にロープで結び合う。
2)お互いがロープの余った部分を手繰り寄せてループを作る(行動中のお互いの距離を10mとしてロー
プを20m弱ずつたぐり寄せる)
3)ループにしたロープの相手に伸びている側を自分のハーネスのビレイループに付けた安全環付きカラビ
ナに通す
これでビレイ体制はOKでこのまま(ロープのループはアックスを持たない法の手に持ったまま)歩き出す。
4)この方法でもしどちらかが落ちた場合、たとえ後ろを登る人間が声も出さずに落ちた場合でもハーネス
の環付きビナに通したロープが勢い良く流れ出すので直ぐに滑落を察知できる
5)確保はまず、手に持ったロープの束を投げ出し、体を斜面に正対し両足を雪面に蹴り込み安定した足元
を作り、次に体を斜面に側に寄りかかるように倒しロープに引き込まれないように体制を作る
6)次の瞬間に環付きビナを流れるロープをカラビナ制動のビレーをやる要領でグリップ(ダイナミック)
ビレイを行い(滑落を察知してからここまで2〜3秒で出来る筈)ロープが無くなるまでに滑落者を止める。
注:このカラビナ制動のでグリップビレイを行う際に重要なのは(残りのロープの長さを見ながら)出来る
だけロープを流して緩やかに制動を行う事で少しでも強くにぎり過ぎると確保している自分があっという間
に雪面から引き剥がされてしまうことで、この握り具合の感覚は実際に人間を滑らせての訓練を繰り返し行
い、身につけるしかない。
7)滑落した側は余分にロープが出てしまわないように環付きビナを通した部分のロープを強く握るか、ル
ープを離さないようにし大声をあげて相手に知らせる
説明
この方法は数年前に吉尾弘さんの講習に参加した際にスイスのガイドが採用しているやり方として教えても
らったもので、この時はロープをビナではなく手で直接掴むといわれましたが、後でよく考えてみると手に
持ったロープの束に後ろからガクッとテンションがかかれば束を取り落としてしまう事も十分考えられる訳
でそうなれば滑落を止める方法は無くなってしまう事になり、それを防ぐ為にあらかじめロープをカラビナ
に通しておきそのビナでそのままカラビナ制動のビレイをする方法を考案したもの。最初はカラビナではな
くにATCにロープを通してみたのですが実際にやってみると投げ出したロープの束にテンションが掛かる
とロープがもつれやすく、少しでもロープがキンクした部分がATCに差し掛かるとそこでロープが引っか
かって止まってしまい、結果としてビレイヤーに衝撃がかかって斜面から引きずり落されることになり少々
のキンクなら通り抜けてくれるカラビナの方が良いとの結論になりました。この技術は35〜45度ぐらい
の比較的締まった雪面あるいは雪稜でテクニカルではないが落ちたら命がないというような場面で使えると
思います。
この方法も雪面でしか使えず色々な問題点もある訳ですがこの方法に対する意見や自分はもっと良い方法を
知っているという方アドバイスお願いします。コンテはそもそもやらないといった意見もあるでしょうが、
たとえば長大で急峻なトレースの無い雪稜の下りで雪が腐ってアイゼンに団子になる場合とかこういった技
術が欲しくなる場面は(そう多くはないかも知れないけれど)必ずあると思います。
岡田さん、こんにちは。黒澤です。
> 岡田@YCCです。
> アルパインをやって7〜8年になりますが未だにコンテで行動中に片方が落ちた場合
> の確保方に確かな答えが見出せないでいます。
富士山などでは、南勲氏考案の「ヒマラヤンコンテII」を使っています。エイト環
の「大きい穴」をATCの様に使って手元のロープを流しながら止める方法ですが「滑
落」には効果的です。
ロープの太さやエイト環の大きさによって制動が変わるのと、ロープがキンクして
いるとロックして急制動がかかり引きずり込まれる事があるので注意が要りますが、
雪上訓練の現場で何回か実験してみればすぐ体感できると思います。
僕の講習会では、お客さんにもやってもらいましたが、割合簡単に止められるので、
みんなビックリしていたようです。手元のブレーキがファクターなので、体重差とか
はあんまり関係ないみたいです。むしろ、力の弱い女性の方が上手に止めたりしてい
ました… (^^)v
自由落下に対しては…まだ経験したことがないので(なるべくなら、したくはない
が (^^;)何とも言えませんが、墜落者と確保者の間に「摩擦」があれば止められる
可能性は高いと思います…でも、八ツみたいなゴロゴロの岩稜で落ちられたらロープ
がもつんだろうか…ロープが切れれば、いっちゃうのは落っこちたヤツだけ※だから
良いのかも(良いわけない!)しれませんね… (^^;
※「反対側に飛び降りる方式」で切れたら二人ともいっちゃうわけですね (^^;
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