終了した『イリジウム』と、これから始まる『ICO』。全地球携帯電話に明日は有る
のか?
さる3月18日。衛星を利用して全地球をカバーする衛星携帯電話『イリジウム』の
サービスが終了した。
国内の電気通信事業ではポケベル事業会社の倒産は記憶に新しい。この場合、NTTド
コモが事業を引き継ぎサービスを提供しているため、利用者への影響は少なかった。
ところがイリジウムは、衛星の運用を行う米イリジウム社が事業を断念。引継ぎ者が
現れなかったため、世界中でサービスが停止した。サービスの利用者には、電話機を
買い取る措置がされている。
サービス停止の原因の一つに、米イリジウム社への参画を検討していた投資家が、資
本を他の衛星携帯電話事業に振り向けたことがあげられる。その事業とは、2002年後
半にサービスを開始を控える衛星携帯電話『IC0(アイコ)』。高度約1万メートルの上空
の軌道に10機の衛星を配し、全地球をカバーするもの。
資金調達の難航、衛星の打ち上げの失敗もあり、サービス開始は2002年春までずれ込
んだ。
現在、米イリジウム社と同様に米連邦破産法第11章を適用、事業計画の再建を行って
いる。今年再度衛星の打ち上げを予定しているが、その後のスケジュール、端末の詳
細については未定だ。
とはいえ、衛星携帯電話自体の将来が暗いわけではない。ICOでは次のようなことを
公表している。
「音声通話以外のニーズも取り込みます。開始当初から144Kbpsのデータ通信を提
供。1年後には384Kbpsも可能にする予定です。また、衛星が見通せない室内でも通信
できるレピーター(中継器)を開発しています」(ICOの事業会社の日本衛星電話企
画部課長・川本健氏)
144Kbpsといえば、ISDN回線の2回線以上の通信速度。テレビ電話などの動画系のサー
ビスも可能になる。音声主体だったイリジウムの失敗を踏まえて、超高速データ通信
で利用者の獲得をねらっている。(DIME 6月1日号)
ACHP編集部
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