63才チョモランマ征服 法大隊の山本さん 高齢記録を3歳更新

朝日新聞社に入った連絡によると、世界最高峰のチョモランマ(8,848b)に中国側
から挑んでいた法大隊(中村敏夫隊長、朝日新聞社後援)は19日、第三次アタック隊
の山本俊雄さん(63)=東京都板橋区=がシェルパ二人と共に登頂し、最高齢記録を三
才更新した。また、この日、同ルートから山頂を目指していた東北地区海外登山研究
隊の今野一也さん=山形県遊佐町=は61才での登頂を果たした。

これまでの最高記録は昨年5月、ネパール側から登ったグルジア隊のレフ・サルキソ
フさんの60さいと161日。日本では長崎県多良見町の川原慶紀さんの57才と182日で、
1998年5月中国側からだった。

現在、ネパール側から69才の米国人男性登山家が山本さんの最高齢記録を塗り替えよ
うと、アタック体制を整えている。今季のチョモランマは「ミレニアム」を記念し、
最高齢と最年少登頂記録更新を目指すなど話題の隊が多い。

高齢者の成功、事前準備が実る

法大隊・山本さんの最高齢登頂記録更新の背景には、チョモランマ登山の様変わりが
有る。

1990年代、欧米の登山家達が一般向けの「ツアー登山」を組織するようになった。高
所に強いシェルパが、キャンプの設営やルート工作まで担当。酸素を吸って固定ロー
プをたどり、山頂を目指すシステムが確立された。

このおかげで、好天時に複数の隊が連なって一日数十人が登頂するケースも珍しくな
い。法大隊も同様で、ここ数日の好天にあわせて準備を整え、17日の第一次アタック
からシェルパを含めると計10人が山頂を踏んだ。

チョモランマは初登頂の53年から70年代までの登頂者は延べ102人だったが、その後
の20年間で1200人を突破した。もはや未踏ルートも少なくなり、単独、無酸素などの
記録も出尽くしたが、最高齢の魅力は衰える事はない。

最近は「最高齢」や「最年少」などの記録更新といった、細分化されたタイトルを掲
げる挑戦が目立ってきている。山本さんの登頂も、登山本来の記録と言うより、高齢
化社会の中で登山界でも事前にトレーニングを重ねた年配者の活躍が光った、と見る
べきだろう。(5月20日 朝日新聞 朝刊)

★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る