●夢あきらめず世界の旅へ「ありのまま受け入れて」
下半身不随の女性、日本縦断中 手こぎ自転車で札幌から沖縄へ
《写真》 ハンドサイクルのカレンさん(手前)と伴走する続さん=東京都渋谷区
の代々木公園で
岩登り中の落下事故で下半身不随になったが、手こぎ自転車(ハンドサイクル)でキ
ルギス〜パキスタン間の約1600キロを走破した英国人女性が、日本縦断の旅にの
ぞんでいる。3日に札幌を出発し、有珠山の噴火でルートを変更したものの、現在、
東北地方を南下中。5月20日ごろ沖縄にゴールする予定だ。
カレン・ダークさん(28)は英国・アバディーンに自宅があり、地質学の研究職と
して石油会社で働いている。3月下旬に休暇をとって来日した。
山に魅せられ、トレーニング、クライミングに熱中する大学生だった7年前、事故に
あった。生活は大きく変わり、ひどくめいったり怒りをあらわにしたりしながらも、
車いすマラソンや乗馬、サイクリングなどに挑戦するようになった。
事故に遭う前はヒマラヤ登山が夢だった。「登山は無理でも近くで見ることはできる
はず」と3年前、友人3人とキルギス〜パキスタン間を7週間かけて旅した。
自分に出会う人たちの反応に失望することが少なくないという。「度を超した質問攻
めにあうかと思えば、ヒーロー扱いされる。私は普通に生きているのに、周囲から『
普通でない』と思い知らされてしまう」
こうした思いを、本にまとめた。「自然の中にいたい」「世界を旅したい」という気
持ちを捨てず、障害と折り合っていく自分について率直に書いたもので、「夢をあき
らめないで」(TBSブリタニカ)という題で邦訳されている。
「障害者とどう接していいか分からないというのは分かる。事故にあう前は、私もそ
うだったから。障害も含めてその人をありのまま受け入れてほしいのです」とカレン
さんは話す。
今回の旅には、本を翻訳した続素美代さんがマウンテンバイクで伴走している。続さ
んはエベレスト登頂の経験があり、3年前、仏・シャモニーでカレンさんと出会った
。インターネットのホームページ(http://www.nwj.ne.jp/)
で、2人の旅日記を公開している。 (4月9日 朝日新聞 朝刊)
ACHP編集部
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