大阪の三枝さん8年がかり一人で
一人で、8年間かけてネパール―日本語辞典を編纂した三枝礼子さん(67)=大阪
府交野市在住=に、ネパール王から勲章が贈られる。授賞式は4月13日、カトマンズ
の王室宮殿である。
三枝さんが作ったのは、「ネパール語辞典」(大学書林、本体3万6千円)。インドの
ヒンディー語と同じデーバナーガリー文字で表記し、文字表順に並んだ2万6千5百語
の単語と発音、日本語の意味、代名詞の変化や動詞の活用表などを収めている。
三枝さんとネパールの関係は1969年、母校の大阪大学山岳会の第3次P29登山隊に
加わった時に始まる。帰国後、英語のネパール語入門書などを読み、登山家や文化人
類学者らのネパール語輪読会に参加したり、ネパールの本の翻訳を試みたりするなど
、勉強を続けた。
ヒマラヤ登山が大衆化し、経済交流も盛んになった89年頃、出版社から辞典編纂の
依頼が来た。
製薬会社で英語やドイツ語の翻訳をしていた三枝さんは外国語の専門家ではない。ネ
パール語の英訳辞典やネパール語だけの辞典、現地の出版物を参考に、作業を進めた
。日本にきていた留学生とも相談して、実用向きの2万6千5百語を選んだ。
97年に完成。出版した時には「山脈を縦走して、ネパールの全容を山の稜線から見
下ろしたような気分でした」という。
勲章内定は昨年暮、在日ネパール大使館から知らされた。日本人の受賞者は過去19
5人で今回も4人が選ばれたが、ほとんどが経済、技術援助の功労者で、文化学術関
係者は少ないと言う。
三枝さんは引き続き日本語―ネパール語辞典の編纂を始めている。今度は英訳辞典の
ような基本になる参考辞典も無い。70歳までに完成させたいとはりきっている。「
3年はかかるでしょう。時間との戦いです」(2月29日 朝日新聞 朝刊)
ACHP編集部