蜃気楼の原因に新説 |
しんきろう原因に新説 富山の高校教諭「雪解け水」否定 北アルプスの雪解け水で空気が冷やされて発生しやすいとされてきた富山湾のしんき ろう。実は空気の冷却は雪解け水ではなく、地表の熱が奪われる放射冷却現象が原因 とする新説を24日、富山市の県立富山工業高校教諭、木下正博さん(36)が明らか にした。木下さんは、五月に茨城県つくば市で開かれる日本気象学会で発表する。 富山湾のしんきろうについてはこれまで、海面上で空気が冷やされる主な原因は、立 山連峰からの雪解け水によると説明されてきた。 しかし、木下さんは、疑問を抱き、発生のメカニズム解明に挑んできた。 しんきろうが多発する4〜6月の表面海水温は、湾外より2度ほど高い事を突き止めた 。さらに、雪解け水で海水を冷やしただけでは、しんきろうを作り出す厚さ数メートルの 冷たい空気層が出来ないことも、室内実験で確かめた。 これらの結果、早朝の放射冷却現象で、陸上から海上に冷気が流れ込み、日中になっ て、その上に陸地で暖められた空気が運ばれて寒暖の空気層が作られるのがしんきろ う発生の原因と結論付けている。(2月25日 朝日新聞 朝刊)