救急法
人 工 呼 吸 法
救急処置の優先順位
1 呼吸の維持(気道の確保)
どのような状況下にあっても、気道確保はしなければならない。たとえ状況がどんなに危険でも、全搬送
過程を通じて気道確保をしなければ遭難救助は完遂されたとはいえない。
2 止血(圧迫止血法により止血をする)
3 ショックに対する処置(ショックの予防及び処置)
意識喪失患者の処置
1 気道確保を行う
@ 目的
何らかの障害によって患者が意識を失った場合には、それらの筋肉が完全にゆるんでしまい、舌が完全
に気道を閉鎖してしまうことがあるため、窒息しないように気道を確保し呼吸を維持する。
A 方法
a 患者のうなじに手をあてて持ち上げ、別の手で患者の額を押して患者の首を後ろに反らせてやる。
b 頸椎に異常がなく、うつ伏せにしても病状が悪化の危険がないなら、患者をうつ伏せに寝かせて顔を
横に向かせる。
c 頸椎骨折の疑いがある場合は、患者の下顎に指を引っかけ、下顎を前方に引き出すようにする。
※ この際、患者の首を動かしてはならない。
B 気道確保のチェック
a 患者が静かに呼吸しているときは、よく気道が保たれている。
b 患者がいびきをかいたり、音をたてて呼吸したり、苦しそうに呼吸したり、全く呼吸運動が見られない
場合は、気道の部分的、完全な閉塞が起こっている。
2 患者に意識が無い場合は、睡眠薬や鎮痛剤は脳の機能を抑制してしまうので、絶対に与えてはならない。
人 口 呼 吸 法
1 効果のある患者の状態
@ 呼吸、心拍が停止して15分以内。
A 体温が低下している場合(低体温状態)では呼吸が止まっても、より長い時間生存する事もある。
B 落雷、雪崩、水で溺れた場合は、早く患者に到達できれば助かる確率が高いため明らかに手遅れである
場合を除き、蘇生術は試してみるべきである。
2 人口呼吸手順
@ 身体を揺り動かしたり、たたいたりして、目を覚ますかどうか試してみる。
A 意識がないことが分かったら、固くて平らな場所に寝かせる。
B 患者の口に顔を寄せて、鼻や口から呼吸が行われているかどうか聴覚と触覚をつかって確かめる。
C 呼吸が弱まっていたり、全く停止していると思われた場合は、気道閉塞の有無を確認し、異物や吐物が
あれば、のどに指を挿入し除去する。
D 気道を確保する。
E 人口呼吸方法(マウス・ツー・マウス)
a 首の後ろに回している手を持ち上げ、額を押さえている手の親指と人指し指で鼻孔をつまんで閉じて
しまう。
※ 頸椎を骨折している疑いのある場合は、手を下顎角の後ろに置き、下顎を前方に引出しながら、両
手の親指で鼻孔をとじる。
※ 患者が口を固く閉じて行えない場合は、頭を後屈させて気道を確保しながら、鼻孔から人口呼吸を
する。
b 素早く4回息を吹き込み、患者の胸が膨らむまで十分に空気を吹き込む。
c 患者の心臓が拍動しているかどうか頸動脈拍動をチェックする。
脈拍が停止している場合は、心臓マッサージを合わせて行う。
d 人口呼吸は、1分間に約12回〜14回の割りで行う。
※ 空気が肺へ行かずに食道を通り胃に入り胃が膨らんだ場合は、横隔膜を圧迫し呼吸運動に支障をき
たすので、上腹部に手をあて適度に圧 迫し空気を出す。
<注意>
人口呼吸が有効に行われている場合は、空気が上気道を出入りする音が聞こえ、胸郭が上下するのが見える
のが普通だが、もしそうでない場合には気道に閉塞が無いかどうか調べる必要がある。異物などがある場合は
除去してから再度人口呼吸を行う。
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