タイトロープビレー
タイトロープビレー
セット方法/2名パーティの場合
1 ハーネスを着け、お互いにザイルを結ぶ。
2 ビレーヤーは、自分のハーネスから出ているザイルをザックの中に入れる。このときザイルを引っ張れば
何の抵抗もなくスムーズに引き出せるようにしなければならない。
45mザイルの場合は、約25mをザックに入れ約20mを出しておく。
3 ザックに収納したザイルが勝手に出ていかないように、中間に八の字結びを作り、ハーネスのメインカラ
ビナに固定する。
4 ザックを背負ってから、残っているザイル約15mをタスキ掛けにして肩に巻いていく。
5 ザイルが約5m残ったところで、タスキ掛けにしてあるザイルがバラけないように胸の所で、ザイルの使
って止め結びをし、カラビナを使ってハーネスのメインカラビナに 固定する。
6 残ったザイルで直径約30pループを作りながら手のひらに巻いて重ねていく。
7 相手との間隔が約1.5mになったら、ループの最後の一巻きをループの上にクロスさせて、引っ張られ
てもすぐにループが崩れないようにする。
セット方法/3名パーティの場合
1 まず、先頭にザイルを結ぶ。
2 ザイル間隔を約1m〜1.5mとり、中間で八の字結びを作る。この時にできるループの長さがのばした
ときに約30pになる様にする。
3 2でできたループを2番目のハーネスのメインカラビナにかける。
4 同様に、3番目もセットする。
5 セットする人数は、最高3名ぐらいまでまでが好ましいがルートの状況やビレーヤーの技量によって変化
する。
6 最終者から間隔を約1.5m取り、後のザイルの格納、確保要領は2名の場合と同じである。
確保方法/2名パーティの場合
<登高する場合>
1 雪面を登る場合は、ビレーヤーがトップになる。
2 パートナーとつながっている約1.5mのザイルが、歩行中は常に張られている状態(タイト)になって
いなければならない。
※ 登高前に、パートナーにタイトな状態で登るように告げる事を忘れないようにする。
3 ビレーヤーは、歩行中には常に手に持っているザイルに意識を集中させて、たるんでいないか、セカンド
の歩行速度、状態はどうかと言うこと観察しながら登高を続ける。
4 もし、セカンドがバランスを崩し転倒しそうになった場合は、ザイルはタイト状態になっているので、ザ
イルループ作っている手で軽く引っ張ってやり、セカンドが転倒する前に止めてやる。
※ このときに、ザイルがたるんでいたり、ビレーヤーがなにも考えずに歩行していたりすると、セカンドが
転倒して引きずり込まれ、一緒に滑落する事になる。
5 確保に失敗して、セカンドが転倒してしまった場合は、すかさず体重を前にかけて身体を雪面に着け、で
きればピッケルのピックを雪面に刺し、即座に引きずり込まれない体制をとる。
<下降する場合>
1 まずパートナーを先に下降させ、ビレーヤーが後から下降する。
2 下降の場合は、パートナーが良く見えるのでザイルの張りや、歩行状態が良く分かるが、ビレーヤーはす
ぐに確保体制を取れるように気を配りながら下降する。
3 パートナーがバランスを崩した場合は、即座ににザイルを引いて、転倒する前に止めてやる。
4 確保に失敗して、パートナーが転倒してしまった場合は、腰を落として後ろに体重をかけ、衝撃にそなえ
る。しかし、ザイルの長さが短いのでとっさに体制を整えなければ引きずり込まれることになる。
確保方法/3名パーティの場合
1 メンバーの状態としては、数名がメインザイルから枝分かれしている八の字のループで結ばれている。
2 八の字のループ30pの遊びがあるので、たとえば3人がつながれているとして、中間者がバランスを
崩したとしても、直接が重がかかるのはビレーヤーが確保しているメインザイルであり、確保をしっかり
していれば、他のメンバーには30pの遊びがなくならない限り、荷重はかからない。
もし、荷重がかかったとしても、3番目とビレーヤーに荷重が分散されるので、よほどの事がない限り、
全員を巻き込んで滑落する事はない。
3 ただし、ビレーヤーが確保を失敗したり、転倒したりした場合は、パーティ全員を巻き込んで滑落する
事になるので、絶対に失敗は許されない。
4 登高前に、パートナーにザイルがタイトな状態で登るように告げる事を忘れないようにする。
注 意 事 項
1 斜登高や、斜下降をする場合
ザイルループを持った手は、常に谷側になっていなければならない。山側になっていると、荷重がかか
った場合にビレーヤーの身体を回す様に引っ張られるために、十分に確保体制が取れずに引き込まれる恐
れがある。
ジグザグに登高、下降するような場合こまめにザイルループを持ち替えて、最良の体制を取らなければ
ならない。
2 トラバースをする場合
できる限りビレーヤーはパートナーの上部を歩行しなければならない。(ルートによっては不可能の場
合もあるが・・・。)そうしなければ、パートナーがバランスを崩しても、確保する事ができずに滑落し
てしまう。そして、ビレーヤーを支点にして振り子の様に滑落し、引きずり込まれてしまう。
3 危険地帯の通過や、障害物がありザイルの長さが足りなくなった場合。
@ 手に持っているザイルループを解き、少しずつ送り出してやる。
A それでも足りない場合は、胸の所の止め結びを解き、タスキ掛けにしてあるザイルを使用する。
B タスキ掛けにしてあるザイルでも足りない場合は、ハーネスのメインカラビナに固定した八の字
結びを解いて、ザックの中のザイルをザックを背負ったままで、必要分だけ引っ張り出して使用する。
C Aの状態になったときは、肩がらみなりスタンディングアックスビレーなりに切り替えて確保し
なければならない。
4 岩綾地帯の通過
@ 常に、パートナーを観察するのは通常通りだが、ビレーヤーが常に確保できる体制を取るために
は、歩行中にザイルループを解いたり、巻いたりをタイミング良く繰り返し最良の位置にいなけれ
ばならない。この時に一々、パートナーの歩行を止める様な事では、ビレーする資格はない。
A 歩行中は、岩角などがあればザイルを引っかけて、パートナーが滑落しても荷重がビレーヤーに
直接かからない様にして停滞なく歩行する。
5 ビレーヤーの技量
@ ビレーヤーは、タイトロープビレー経験豊富な上級者がならなければならない。
A ビレーヤーの失敗は、パーティ全員の滑落につながる恐れがあるので、気軽な気持ちでビレーし
てはならない。
B ビレーヤーには、ルート判断、状況判断、クライミング技術の確実な人がなる事。
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