有持です。
Tatsuo Ito wrote:
>
> 左京労山の伊藤です。
>
> 残念なことに、この国では、「スピードこそ安全につながる」
> というせりふは、確保技術を身に付けようとしないクライマーが
> 己の技術の未熟さを隠すためにロープをちゃんと使わないこと
> の言い訳として使ってる場合が多いように感じます。落ちる確率
> というものは極めて低いので、まともな確保をしなくてもたいてい
> 無事に帰ってこられます。しかし、それは単に運が良かっただけ
> です。
私も基本的には伊藤さんと同じ意見です。私は、雪の状況、天候、メンバーの
経験や技量などを判断し、私なりに安全だと判断した場合はザイルを付けません
が、少しでも危険を感じた時はザイルを出すようにしています。
他のパーティが使っていないからと言って、意地を張ってノーザイルで行くメ
リットは全くないと思います。
私も剣岳に魅せられて数年間通ったことがあるので冬の剣岳の状況はよく分か
ります。以前、源次郎尾根を登って早月尾根を下山したときの事です。頂上では
テントが埋まるほどの新雪が降り、どこがなだれてもおかしくない状況で早月尾
根を下降しました。私たちは3人パーティだったのですが、足を踏み出したら足
下がすぐ雪崩れる様な状況の雪壁をラッセルしながら下降していた時の事です。
(当然ザイルを使用しています。)
そこへ某有名山岳会のパーティが追いついてきて、私たちが下降しているのを
邪魔そうにしていましたが、待ちきれなかったのか、そのうち一人がノーザイル
でその雪壁を下降し始めたではありませんか。あの状況でザイルを付けないのは
無謀としか言いようがありません。
私のすぐ横に来たときに足下から下が全部雪崩れてしまいました。滑落は免れ
たのですが、あわてて上からザイルを投げてもらって下降していきました。
そのパーティとは登攀中も一緒だった時もあったのですが、よっぽど自信があ
るのかザイルも付けずに新雪の急雪壁を登っていました。
6時間掛けて早月小屋まで下降し、小屋で聞いてて知ったのですが、数日前に
雪崩で行方不明になった人が流された付近でした。
いくら簡単な早月尾根だと言っても雪の状況によってはかなり危険な状態にな
る事があります。そこであの様な事をしているといずれは命を落とすことになり
かねません。
> 確保を省略してスピードを上げるのは運に頼る危険な登り方で
> す。ビレイしつつ速く動くこと、これが課題です。
>
> 私はこのように考えますが皆さんはいかがですか?
確かにアンザイレンして歩行しスピードアップをするのは、確保者のザイルワ
ークにかかっています。正しい知識と方法が完全にできなければなかなか難しい
ものです。
ヨーロッパに行ったことのある人ならガイドがアンザイレンをしてお客を連れ
ているのを見たことがあると思います。
このガイドのビレー方式はお客だけをビレーする一方的なものですが、アンザ
イレンしていても、ザイルを使用していない他のパーティよりスピードがありま
す。これはガイドの技術と自信に裏付けされた結果だとおもいます。
クライミング技術も日進月歩していますので、安全にクライミングを楽しむた
めにはそれなりの勉強と努力が必要ではないでしょうか。
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日本山岳ガイド連盟/ARIアルパインクライミングスクール
ARIアルパインクラブ
有持真人 (e-mail)arimochi@ca2.so-net.or.jp
アルパインクライミングホームページ
(URL)http://www.big.or.jp/~arimochi/
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