遭難救助(2)/回答<10>
大渕です

>
>1)ビーコンなしでは生還の可能性はほとんどない。
そうですね.

>2)複数の遭難者を複数の捜索者が探すときは問題点が多い。(実際にこの状況で
>  練習しておかないと役に立たない)

「問題点が多い」というよりは,「注意が必要」の程度でしょう.練習は必
要と思います.複数捜索者がいる場合は,ゾンデ法で並んでやっていたみた
いに,協力して,重複を避け,かつ拾いこぼしが無いようにしつつ,効率化
する事が出来ます.協調捜索は,捜索範囲が広い場合は,とくに重要と思い
ます. 

一番悩むのは1人で複数探す時(探した後?)では無いかと思います.全員は
間に合わないかも知れないから.

>3)捜索/発信 自動切り替え機種での捜索には注意。

自動切り替え無しだと,捜索中に起こった2次的雪崩で捜索者が埋もれた場
合に困ります.わたしは,問題無く,自動切り替えの機種が良いと思ってい
ます.ビーコンが発信に切り替わったのに気づかない人が問題でしょう.よ
うは自分の使うビーコンに慣れることです.ハムのトランシーバよりはよほ
ど扱いが楽だと思いますが.(この意味でも,自分でビーコンを買う事にす
こしは意味があるような気がします.) 

>4)ビーコンだけでは救出できない。スコップ、ゾンデを全員が携帯する必要がある。

ショベルは必携ですね.3人以上のパーティーなら,場合によっては人
数分無くても良いかも知れませんが,雪崩の起きそうな所では,ショベルを
持っている人の間を空けて,ショベルを持った全員が埋もれてしまわ無いよ
うにする事が必要です.

プルーブはもちろんあった方が良いと思いますが,ビーコンでも比較的容易
に(埋没の深さによるけれど)半径1m程度の範囲に絞り込むことが出来ます.
わたしは,この上で,軽量化のための妥協として,スキーツアーでは持って
行くポールをプルーブになる物とし,専用のプルーブは持たずに済ませてい
ます. 

>5)実際の雪崩では、捜索範囲が広大で、この点を考慮した練習が必要。(デブリの
>  末端に埋没する可能性が高いようですが)

(以下はテキストからの受け売りです.皆さんご存知とは思いますが,繰り
返します.)
雪崩が起きそうな所を通過する場合はパーティーの間隔を空け,出来るだけ
一人づつ通過するようにします.そして,危険地帯を通過する人から目を離
さないようにして,もし雪崩た場合に埋没者の位置,軌跡を追うようにしま
す.これでかなり範囲を絞れるはずです.

わたしもパートナに,「この辺雪崩そうだから,ここで待ってて.ぼくが先
に行くから目を離さないで良く見ててよ!」といってから危なそうなトラバー
スに入ったりします.

前も書きましたが,日本語で1冊,英語で数冊のクライマー,スキーヤーむ
けの雪崩に関する本が出ているし,ビデオも2つくらい出ているので,ぜひ
参考にして下さい.(スキー場管理の授業を取ったカナダのスキーインスト
ラクターによると,雪崩の予知,管理,救助等に関して,これらのテキスト
を使って学ぶそうです.) 私は行った事がありませんが,日本でも行われて
いる講習会も効果的と思います.

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