装備質問(6)/回答<1>
獨標登高会の寺田です。

●ヘルメット破損
先月乙女の滝に行った際、ビレイ中の友人のヘルメットが破損しました。自分たちも
含め3本もロープがたれていれば落氷が有って当然ですね。氷がヒットした際に割れ
たようです。ヘルメットはカンプのLW260。その名の通り軽量260グラムです
。お持ちの方は分かると思いますが、発泡ポリウレタンのインナーに、樹脂製のシェ
ル。シェル部分には左右4対のベンチレーターとして、斜めのスリットが入っていま
す。そのうちの左側の一番後ろのスリットの下部が縁まで割れてしまいました。
現在のヘルメットの傾向として軽量化が進んでいるようですが、強度的な問題は有り
ますね。ペツルのメテオが240グラム。グリベルのベーシックキャップが300グラム。
従来ですとアルパイン用は400グラム台が主流でした。ペツルのカタログをみるとメ
テオはフリーでの使用を前提とし、アルパイン用はエクランロック(496グラム)を
勧めています。
私は以前ガリビエール社のヘルメット(475グラム)を使用していましたが、古くな
ったので今シーズン買い換えました。新しく購入したヘルメットはホンダアクセス製
(ホンダの子会社。二輪・四輪の純正オプションを扱う)のスラッシュというもので
す。お椀型で重量は600グラム。厚手のシェルに、発泡ポリウレタン。さらに頭頂部
と左右側頭部にベルクロで取り外し可能なパッドが付いています。多少重いですが被
っている分には、そう感じません。また信頼性があって安心できます。本ちゃんルー
トでも他の装備で軽量化すれば済むことです。バイク雑誌の広告を見るとカヌーやA
TB、横乗系のスポーツにも最適と有りました。さすがにクライミングは書いてあり
ませんでした。当然の事ながらJIS/A種なので125cc以下のオートバイに使用
可能です。定価は¥7500。上野のバイク屋では¥5000前後です。カラーは8色ほど有
り、サイズはSとMです。興味のある方は是非実物をご覧になってください。東急ハ
ンズ渋谷店・カー&バイク用品コーナー(代表03-5489-5111)上野ラビー・ファッシ
ョンセンター(03-3844-9135)で取り扱っています。
ヘルメットの重要性は今更説明するまでもないでしょう。落石の直撃を受けた後、自
力で行動可能かどうかでその後の救助態勢が大きく変わってくると思います。
第二次大戦中の零戦を代表とする旧日本海軍の戦闘機は、非力なエンジンをカバーし
航続距離を延ばすため、搭乗員を守る装甲版は最低限しか設置されませんでした。敵
弾は技術で回避するとか、神国日本の戦闘機は弾に当たらないといった、とんでもな
い精神論まで出る始末。それに引き替え欧米の戦闘機は、たとえ重量増となり航続距
離や運動性能が減ってもパイロットの命を最優先に考え、装甲版や防弾ガラスの研究
開発を行いました。キリスト教の教義的な意味合いもあります。このことは各自のク
ライミングのスタイルにも当てはまると思います。
最後にヘルメットやプラブーツ、スリングなどは経年変化があるため、たとえ使用し
なくとも3年をめどに使用を辞めたほうが良いでしょう。

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