質問内容/回答 |
尾崎徹@クライミング 上だクラブ 憬稜登高会です。 梅雨入りですね。 B社より廉価なシングル用ロープが発売されたりで、 昔に比べて気軽に廃棄交換する事が出来るように なったクライミングロープですが、ドライ加工について 疑問というか質問があります。 スタンダードのロープで濡れの伴うアイスの時に凍って しまい、収まりきらない容量になった経験がありますが、 ドライ加工されたロープではしなやかさを保っているよう な感じがします。 雨のゲレンデで上だけカッパを着てルベルソでの下降の 時に、E社のドライ加工のロープなのに絞れる水でパンツ はぐっしょりというのもありますし、M社のスーパードライ の新品をおろして雨に遭い、すっかり重くなってタオルで 絞りとった友人は泣いてました。 撥水性もいまいち疑問が残る場合もあるので、どんなも のでしょうか。 又使用期間の問題もあるし、使えるロープのドライ加工を 安全に再生する知恵等ありましたらご教示ください。
川上@MSCC ロープの撥水加工がどのように施かされているか、実のところ知りませんが、大方、 ウエァなどと同じように、フッ素系のいわゆるコーティングでしょう。 フッ素は、もともと滑らかにする(摩擦係数が低くなる)作用がありますから、水に ぬれる濡れないに関わらず、ロープの流れは(しなやかさ)スムーズになる傾向にあ ります。 ただ、レイン・ウェアーと同じように、2〜3回も使えは、撥水性も期待できないの が事実です。 沢登りなんかに使えば、大抵、一発でドライ機能はなくなり、しなやかさも失いま す。 更に、ここが核心ですが、所詮、あれだけ編みこんであるロープですから、仮に撥水 性が100%機能していても、繊維間には水が保持されます。 程度(水に触れる時間と量)の問題ですが、所詮吸水してしまいます。 例えば、繊維自体の吸水性が”0”と言われる、クロロファイバーだって、編みこん であれば水を吸うでしょ。 冬だって、表面に付いた雪なんかを巻き込んで、懸垂すれば、水となってしみ込む し、それが凍ればロープは、棒のようになります。 でも、やっぱり、ドライの方が、少なくとも初期は断然楽ですね。 ロープ表面の繊維もμmレベルですぐに毛羽立ってきますから、保水しやすくなって しまいます。 再生のことは、すっぱりあきらめた方がいいと思います。(笑)
佐野@松本市です。 尾崎さん、どうもはじめまして。 今後ともよろしくお願いいたします。 > B社より廉価なシングル用ロープが発売されたりで、 > 昔に比べて気軽に廃棄交換する事が出来るように > なったクライミングロープですが、ドライ加工について > 疑問というか質問があります。 クライミングロープ類のドライ加工に関してですが、私の方で色々と分析、実験を行ったこと がありますのでご報告します(専門が有機機能性素材なもので。。。) クライミングロープ類のドライ加工と呼ばれるものですが、これはメーカーによっても違うと思 われますが、一般にシリコーンまたはフッ素系の撥水剤を繊維に染み込ませてあるものです。 所謂、テントや衣類の「防水スプレー」と同じ物と考えられます。 なので、当然のことながら洗濯(ザイルの場合は水濡れ)や長期使用によってその機能は減 退していきます。(シリコーン系の撥水剤はまだましですが) こちらが分析したところE社のドライ加工はシリコーン系の撥水剤であるという結果が出ました) (水濡れ試験のようなことを行ってシリコーンを定量してみましたが、やはり「流れ落ちて」 います。) よって、ロープなどのドライ加工については半永久的なものではないと考えるしかありません。 また、繊維を編みこんで作っている以上、どうしても繊維間に保水してしまうというのも仕方ない ものです。よって、ドライ加工されているといっても「水を吸ってしまう」ことは避けれません。 水に「ドバドバ」濡らしてしまえば、そのドライ加工の性能は殆ど発揮されないでしょう。 最初の使用の数回と、その後の「しなやかさ」と「気持ち」程度の防水効果を期待する程度と 思っておいた方が良いと思います。 > 又使用期間の問題もあるし、使えるロープのドライ加工を > 安全に再生する知恵等ありましたらご教示ください。 これについても実験を行いました。 まったくドライ加工されていないロープスリング(9mm)をエマルジョン系シリコーン撥水剤で処理 してみましたが、確かに撥水効果は認められるようになりました。 (表面上だけでなく、内部の繊維間の保水率が低下するということです。) 実験の精度があまりよくはありませんが、同じ9mmのE社ドライ製品と比べて、同条件での吸水 実験でも同じような保水率となりました。 以上のことから、ドライ加工を再生することは可能かと思われますが、その手間と薬剤の価格な どからあまり現実的でないと思われます。 なので私はロープの再生を行ったことはありません。ただ、スリング類をドライ加工して使ってい ますが。。。結構便利です。。。小雨程度ではびしょびしょになりません。 また、撥水剤自体も小さな粒子であるためロープ繊維を痛めることも考えられますし、その他の 危険性を否定しているものではありませんので、ご留意ください。。。 以上、あまり参考にならないかもしれませんが。 佐野
尾崎徹@クライミング 上だクラブ 憬稜登高会です。 川上@MSCCさん 佐野@松本市さん返信有難うございます。 気温が高い時期の濡れに対するドライ加工のロープの性能に はがっかりさせられますが、差額が2000円程度のものでは仕 方がないのかもしれません。 低温時の濡れと凍結が伴う時にはそこそこ使い込んだドライ加 工のロープでも柔軟さが残っているので、ドライ加工無しのロー プは実際使いたくないですね。 今後共宜しくお願いします。
永岡です。 ところで少々ネタは変わりますが、氷河のある山の場合みなさんロープは どうされていますか? 以前日のある中二人でザイルを結んでアプローチしていたら、登る頃に ガッチガチに凍り付いて最後は肩がらみでビレイしたことがありました。 ロープを凍らせないうまい方法はないんでしょうか? 良いアイディアがあればよろしくお願いします。