旅マニアのための国境超え− その6 −
ケダー州に新しく設けられたDurian Burung 国境通過地点とその検問所です。
陸路越境地点 Durian Burung
ケダー州とタイ間にある陸路国境通過地点はそれまで マレーシア側の町Bukit Kayu Hitam だけでした。その後2000年代半ばになってDurian Burong 地方に国境検問所が開設されるというニュースを読みました。イントラアジアはその新国境通過地点の開通をずっと待ちましたが、検問所の建設は遅々として進んでなかったようです(国境は双方向ですからタイ側の準備に問題があったことも考えられます)。
注意:こういった情報をいくらマレーシア人に尋ねても彼らは知りませんよ。Imigresen の係官でも、漠然と知ってはいるがケダー州で勤務しているような係官を除いて詳しいことはほとんど知りません。 またDurian Burong 地方、その町Padang Sanai といった細かな地理は、ケダー州のその辺りの出身者でない限り知る人はいません、普通の観光地図にはまず乗っていません。ケダー州出身者でないかぎり 州北部の主要町の1つ Kuala Nerang でさえ知る人はまずいないでしょう。
2011年初め頃に新国境検問所 Kota Putra ICQS がオープンしたというニュースを、イントラアジアが知ったのはその後随分経ってからでした。できるだけ早く訪れたかったのですが、なにせ場所がケダー州の辺ぴな地であり、且つ2011年もマレーシアを留守にすることが多いため、なかなか訪問する機会を見つけられませんでした。そしてこの2011年11月下旬にようやく新国境検問所を利用する機会を作りました。
- 参考:: BERNAMA.com, January 02, 2011 には次のようなフルオープンを知らせるニュースが載っています。
- JELI, Jan 2 (Bernama) -- The RM37 million Bukit Bunga Customs, Immigration and Quarantine (CIQ) complex which links Jeli and Buketa in Southern Thailand started operations yesterday.
下写真でおわかりのように、国境検問所ICQS (下左写真は正門付近から撮影、主に出国検査場が写っている)とその施設(下右写真)はまだぴかぴかの状態です。なお ICQS とはイミグレセン・税関・検疫の略称です。
行きかた
1.ケダー州の州都アロースターから 北東に30数Km離れた町である Kuala Nerang へまず行きます。
- アロースターの Shahab Perdana バスターミナルから Mara Liner 及び他1社の乗り合いバス Kuala Nerang 行きがある。その地方の最後の町が Kuala Nerang なので、アロースターから東北方向へ行くバスはこの路線のみ。運賃RM 4.5、 距離的には30数Km だがアロースター市内各所で客を拾うこともあって、1時間半弱程度かかるでしょう。
2.Kuala Nerang は小さな町です。イントラアジアが10年ぐらい前に訪れた時と比べて気づいた大きな違いは、きちんとしたバス及びタクシー発着場とその建物ができていたことです。完成してまだ数年といった感じです。以前は1軒もなかった(はずの)ホテルも建ったとのことです。
- さらに北東にあるPadang Senai という所までその発着場からバスが本数少なくあったので、最初それに乗ってPadang Senai まで行き、そこからタクシーで国境まで行こうと思いました。バス待ち時にタクシー運転手に料金を尋ねたら、Padang Senai はタクシーすらないカンポン(村)とのことだったので、タクシーで国境まで向かうことにしました。つまり国境へ向かうには、Kuala Nerangからのタクシーだけが交通手段だということです。
3.タクシーに乗って Durian Burong 地区にある国境検問所 Kota Putra まで行く。
- 乗り合いタクシーでもあるので1人いくらだが、まず国境へ行く人はいないはずですから、1台分払うことになります、規定料金: RM 30。 途中通過したPadang Senai は文字通りの寒村です。Kuala Nerang の町を出れば、あとはほとんど山道です。ただ道路は整備してあり、とりわけPadang Senai を過ぎてからの道路はほとんど交通量がないにも関わらず、新しく整っている(下左写真)。国境検問所開設に合わせて、道路を建設整備したことが推測されるし、タクシー運転手も同じようなことを言っていた。余談だがDurian Burong 地方にはタイ民族系マレーシア人の村がいくつかある。 下右写真はときたま道路際に立っている案内表示板です、Kompleks Imigresen とはイミグレセン建物という意味です。
4.こうして約30分ほどの乗車で 国境検問所 Kota Putra に到着する。
下写真はそこで下車して写したタクシー(左)と、検問所門の正門です(右)、正式名称 Kompleks Imigresen, Kastam, Kuarantin dan Keselamatan Kota Putra Durian Burung という文字が見えます。
国境検問所のような施設は当然写真撮影禁止なので、ある程度離れた場所から撮影することになります。建物内写真は撮っていません。
車を使わない国境通過者用の検問窓口が ICQS 建物内に設けられているのですが、閉まっていました。歩行者はもちろん商業車輛乗客として国境通過する非自動車利用国境通過者はまだ例外的存在だということしょう。そこで自動車、バイク用検問ブースで出国検査を受けました。通行量がごく少ないので、自動車用出国レーンの端は駐車した車が停めてありました(下左写真)。
Kota Putra ICQS のオープン時間: 8時から18時 (従ってタイ側検問所はタイ時間の 7時から17時となる)
下右写真は、出国検査場を出た場所から建物を撮ったものです。 三角屋根の左がマレーシア入国レーン、右がマレーシア出国レーンです。
マレーシア側検問所からタイ側検問所まで約100メートルほどの距離です。その中間地点あたりにマレーシア国境警察の検問所が特設されており、自動車だけを検問しています。歩行者もその場を歩きます。
マレーシア国境警察の検問所を過ぎると、そこからはタイ領となりタイ国境検問所ですが、タイ側検問所全施設さらに検問所内道路さえもすべてまだ建設中です、まだ半分ぐらいしかできてない様子です。全部ができあがるのは早くても2012年中頃以降でしょうね。
ということでタイ国境検問所はバラック建ての小屋であり、越境者が小屋内に入ることはありません。またその周囲は雨季のため泥んこ道です! パスポート提出窓口上にはかろうじて雨除けできる程度の庇がある。入国手続は入出国カードに記入するだけの通常手続と変わらない、この検問所を利用する旅行者など全くいないので愛想よく入国スタンプを押してくれることでしょう(笑)。
雨季のためタイ側国境検問所敷地内はとにかく泥んこです。この国境通過地点を利用する人はほとんど自動車かバイクなので困らないようだ。
観察する限り、一時的にマレーシアで労働するためにマレーシア入国するタイ人、タイ深南部に親戚友人などがあるマレー人、マレーシア側に住むタイ系マレーシア人つまり地元の人、タイ南部でのビジネスなどに関るために往来するマレーシア華人が、現時点での利用者のほとんどだと思われます。 旅行者の越境地点としてはまだまったく使われていません。
タイ側情報
タイ側検問所のある地は、ソンクラー県の Baan Prakhob村になる。国境検問所を出た周辺には全く人家はなく、人家が固まっている所までかなり離れている。つまりソーンテーオすらなかった。要するに自由旅行者向けの足の手段はほぼないといえる。
空き地の木陰で、マレーシアに入国するタイ労働者用の入国書類書きを請け負っている人がいた。彼女の話では、不定期にロットトゥーがそこまでやってくるとのこと、確かに木陰にその ロットトゥーを呼ぶための電話番号を書いた案内が立っている(全てタイ語です)。この辺りは恐らく伝統的にマレー人とタイ人の往来地でしょうから、イントラアジアが試した限りマレーシア語もタイ語も通じます。
ということでイントラアジアはいつ来るか当てにならないロットトゥーを待つのを止めて、ヒッチハイクしました。車がごくたまに通る中で、ケダー州に住むタイ人も乗ったピックアップトラックが止まって、イントラアジアを乗せてくれました。こういうところが田舎国境通過地点らしく、良いところです。旅行業者の車が往来する他所では起こりえないでしょう。
イントラアジアは持参の詳細なタイ発行地図であらかじめ検討して、Prakhob 検問所の場所から一番近い町はナタウイーだと知っていたので、その車が通過したそのナタウイーの町中で降ろしてもらいました。ナタウイーにはタイ国鉄は通ってない上に、中距離バスもほとんど通らないようなので、他の町へ行くには不便な町です。ハジャイへ行くか、パタニー方面またはヤラー方面へ行くロットトゥ−があることを聞き出しのたですが、その乗り場を見つけ且つロットトゥーが来るまで結構時間がかかりました。
少なくても基本的なタイ語のコミュニケーションができない人にはこの越境ルートは非常に難しいので、タイ旅の初級者にはお勧めしません。文字を含めてタイ語はある程度わかる、できればマレー語も少しはわかる、という人なら、国境旅のおもしろさを味わえるルートです。
ただ検問所施設の土地に似つかない立派さから、ひょっとしたらあと数年もしたら、このルートも商業化してしまうかもしれませんね。そうなれば、交通手段が比較的容易に得られることでしょう。
2012年1月初め