クランタン州とタイとの国境越え

チョコレートさん作

Intraasia さんの「旅マニアのためのタイ国境の超え方-その1」を読んで、ちょっと変わった国境越えを体験してみたくなった僕は今回の旅で、あまり知られていないボートで渡る国境、Pengkalan Kubur−Takbai ルートを体験してきました。僕の体験したクランタン州とタイとの国境越え2箇所を紹介します。

Pengkalan Kubur−Takbai ルート

コタバルのバスターミナルはたくさんのバスが発着しているから1日中騒がしい。コタバルからタイ国境の町 Pengkalan Kubur まで向かう。事前に19、27、43番のバスが Pengkalan Kubur へ行くということをチェックしてあるのでその番号のバスを探す。バスはコタバルを出た時点では空いていたのだが、ワカバル駅を過ぎたあたりの学校で下校の生徒達を乗せたのでしばらくは超満員でした。

Pengkalan Kubur の町はこじんまりとしていて、行き止まりになっている感じ。バス乗り場、タクシー乗り場、イミグレーション、川の順である。あまり知られていないルートということですが、建物はりっぱなものできれいでしたよ。マレーシア出国のときに何でこんなところに来た?とか細々と聞かれたら面倒だなぁ、と思いましたが、さいわい何も聞かれずに通れました。

  
 [ Pengkalan Kubur 行き19番バス]                    [ Pengkalan Kubur イミグレーション]

出国の手続きをするとついに渡し舟です。この Pengkalan Kubur では車も国境越えをするため、大型のフェリーと人だけを運ぶ小さな渡し舟と2種類がある。うーん、どちらにしようかな?と迷っているうちにフェリーの方が出航してしまった。なので、渡し舟にすることにする。料金は RM 1.00 で、Intraasia さんの行かれた頃より値上がりしてますね。

  
 [ フェリーにするか渡し舟にするか]                          [ Pengkalan Kubur 船着場]

普段、日本に暮らしていると国境と言うものを意識しないので、このように船で国境を越えるのはなんだかどきどきわくわくする。しかし、渡し舟はものの5分ちょいくらいで対岸のタイ Takbai に到着してしまう。船を降りるみんなはそのまま市場へと消えていく。あれ?入国手続きは??と思うかもしれないが、ここでは自己申告式(?)で一度通りに出た後、事務所の建物にある窓口まで行く必要がある。そこで出入国カードをもらい、記入してパスポートにホチキスで留めてもらう。それに国境付近に住んでる人は証明書を持っていますしね。

  
 [ 国境をつなぐ渡し舟]                 [ Takbai イミグレーション]

ソンテーオ初体験!

Takbai の町は小さいですがにぎやかです。市場は活気であふれています。たくさんのフルーツがあり、その場で絞ってもらうジュースは美味しかったですね。さて、この Takbai から Sungai Kolok までなんとかして行かなくてはなりません。Intraasia さんのレポートを読む限り、バスはなさそうで、ソンテーオ(乗り合いピックアップ)にチャレンジしなくてはなりません。船着場や市場ではタクシーや短距離のバイタクの客引きがうるさいくらいですが、タクシーは高いだろうし、バイタクでは Sungai Kolok まで行ってくれないだろうし、相手にしません。

Intraasia注:Takbai -Sungai Golok は昔はオンボロバスも走っていた、今でもあるかもしれないが、運行頻度がぐっと少ないでしょう。バイクタクシーはそこまでの距離は走りませんし、長い距離は交通安全面から乗らない方がよい。ソンテーオ以外に、乗合バン(タイ語でロットトゥーと呼ぶ)も走っています。ソンテーオの乗り場からそれほど離れていない場所にあったはず。ただし看板はすべてタイ語です。ソンテーオも通常はフロントガラスか車体に行き先がタイ語で書かれています。時には消えかかったりと、読みにくい場合もよくあります。


市場の人に「Sungai Kolok へ行きたい」 「ソンテーオに乗りたい」とカタコトのタイ語で聞いてまわります。なんとか乗り場とソンテーオの色(方向別に車が色付けされているそうです。 Sungai Kolok 方面は青色です。)を教えてもらうことができました。乗り場には青色というか紺色のソンテーオが何台か止まっていますが、ちょうどさっき出てしまったばかりのようで、僕以外に客がいません。これはしばらくお客さんが何人か揃うまで待って出発だな、と思っているとタイ人の男が料金の交渉をしてきます。他のお客がいれば、その人と同じ料金を払えばいいな、と思っていたのでこれは大変です。僕は Sungai Kolok までだいたいいくらなのか相場をまったく知りませんから男の言う値段からいかに下げていくかです。タイ語で数字を言う、聞き取るのはとても難しく苦労しました。結局、B 90になったのですが、Intraasia さん、この料金はいかがなものでしょうか?

Intraasia注:ソンテーオはタイ各地どこにでもある、もっとも便利な庶民の乗り物です。このソンテーオ を乗りこなすまでには、タイ語力と各地での乗車経験をつけることで数年はかかります。ですから、チョコレートさんが戸惑われたのは当然です。ソンテーオは近距離だけの乗り物で、大体の距離でいくらと決まっています。多くは5バーツから30バーツぐらいまででしょう。Takbai - Sungai Golok 間のソンテーオは多少距離があるので、30バーツか多少上回る程度だと記憶してます。いずれにしろ 90バーツということはありえません。1台借り切りであれば、途中で客を拾うことは納得がいかないですし、借り切りがたった90バーツなんてことはありえない。

ソンテーオに乗る時に、いくらと聞くこと自体がもうそれで 知らない外国人 という印象を運転手に与えています。タイ人は誰もいくら?なんて聞きません。どこどこを通るのか?と聞く人はいますよ。 なぜなら運賃はほぼ5リンギット刻みで決まっており(そうでない地方もある)、ほとんどはそのルートのリピート利用者だからです。私が初めてのルートに乗る場合も、大体運賃は推測つくし、確認として同乗者に尋ねます、運転手にはもちろん尋ねません。同乗者に聞くチャンスがなければ、20バーツか50バーツ札を降りる時に渡せば、ちゃんとおつりが帰ってきます。しかしこういう態度を平然と取れるまでには、何百回とタイ各地でソンテーオに乗る経験が必要ですね。


そして、ソンテーオは僕1人を乗せて Takbai を出てしまいました。うーん、ちょっと怖いなぁ、このままどこか変なところに連れて行かれても困るし。とりあえず、用心に車のナンバープレートとソンテーオの番号、運転手の男の後ろ姿をデジカメでひそかに撮っておきます。しかし、心配は無用だったようで、しばらく走るとソンテーオは途中で次々と人を乗せていきます。結局、僕のほかに6人が乗り、 Sungai Kolok へと向かいました。なお、Sungai Kolok では駅近くの公園前に止まるようで、逆方向で Sungai Kolok から Takbai へ向かいたい人はスンガイコロク駅から国境方面へ少し歩いたところにある公園前で青いソンテーオを見つければよいでしょう。

  
 [ ソンテーオ]                         [ 風がきもちいい!]

Sungai Kolok の町はマレーシアから夜遊びや買い物に来るマレー人のためにあるような町かもしれない。カラオケやマッサージなどたくさんの娯楽の店があります。また、最初はどうしてだかわからなかったのですが、小さな町なのにやけにカワイイ系やセクシー系の服を売るブティックが何軒もあります。これはおそらく夜のお仕事おねーちゃんが買うためなんでしょうね。食事をした屋台で「いかにも!」という感じのおねーちゃん2人組がいたので少し話を聞いてみました。彼女らは夜になるとお店に出勤し、のんびりお茶や食事をしつつ、お客さんを待つそうです。お客さんはやはりマレー人が圧倒的で日本人や欧米人は滅多にいないということ。お客さんはビールやジュースを飲みながらおねーちゃんとお話をし、気に入った子がいると料金を交渉しお持ち帰りになるそうです。彼女達はだいたいB 1500〜2000くらいで一晩のお相手をするんだとか。あんまり長く話しているとそのままおねーちゃん2人組みに捕まってしまいそうなので食堂を出ます。

Intraasia注:そうです、スンガイゴロックは昔からマレーシア人の歓楽の町で、買い物の町でもあります。水商売及びタイ古式マッサージの女性がたくさん住んでというか、働いています。彼女たちは地元出身はごく少なくてタイ各地から来ていますね。この歓楽街がこの数年、タイ南部不穏化のもとで狙われており、何回も爆弾が仕掛けられ炸裂しています。水商売の客であるマレーシア人にも数回死傷者を出しており、スンガイゴロクの要注意地区です。去年私が通った場所近くでも日数の差で爆弾テロがありました。今年も狙われたニュースを聞きました。


  
 [ スンガイコロク駅]                               [ パッタイを頼んでみました]

Sungai Kolok−Rantau Panjang ルート

タイからマレーシアへの帰りは比較的知られている Sungai Kolok−Rantau Panjang ルートです。Sungai Kolok の町から国境まではバイタクで行きます。タイからのバイタクは Sungai Kolok のイミグレーション(B 20)、もしくはタイ出国手続きを待って橋を渡った Rantau Panjang のイミグレーション(B 30)まで行ってくれます。 Sungai Kolok のイミグレーションは小さくIN とOUT 2つの窓口があるだけ。気づかないで通り過ぎてしまうくらいだ。OUT の窓口でパスポートにスタンプを押してもらうとタイ出国です。

  
 [ Sungai Kolok イミグレーション]                         [ 国境を越える鉄路])

Sungai Kolok−Rantau Panjang を結ぶ橋は行き交うたくさんの車でにぎやか。その隣に鉄路があるのを見ることができる。マレー鉄道とタイ国鉄はこちらでも繋がっているのだ。スンガイコロクを出て、ランタウパンジャンを経由し、マレー鉄道東海岸線のパシルマスまでの線路。しかし、今のところ、この路線に旅客列車は走っていない。以前、西海岸線が大雨の影響で長期不通だったときにイースタン オリエンタル エクスプレスの列車が通ったことはあるようだが基本的には旅客列車は走っていない。走らせる計画はあるようだが、なかなか進んでいない、もしくは立ち消えになってしまったよう。

Intraasia注:私はこの国境を超える区間に一般旅客列車が走るのをもう10年近くも待っているのですが、その気配は全然ない。現在のタイ深南部不穏化が解決しない限り、旅客列車が国境をまたいで走ることはないですね。


  
 [ Selamat Datang !!]                           [ Rantau Panjang イミグレーション]

Rantau Panjang のイミグレーションはタイのものに比べるとしっかりしたつくりになっている。徒歩・バイク・車とわけてそれぞれ手続きができるようになっている。徒歩の人は左側に寄っていって写真にあるような案内にしたがっていけばいいのでわかりやすい。
また、写真のようにマレー鉄道のランタウパンジャン駅はけっこうきれいに整備されている。ここを列車が通るようになったらまた来ないとなぁ(笑)

  
 [ 徒歩の方はこちらへ]                            [ Rantau Panjang 駅]

ランタウパンジャンのイミグレーションを出て、まっすぐ進むとタクシースタンドやバス停があります。(徒歩3分くらい) 右に曲がり小さな商店街を抜けるとランタウパンジャンのバスターミナルです。(徒歩5分くらい) パシルマスまではバスで約30分、料金 RM 2.50です。そのまま乗っていればコタバルまでも行けますよ。


飛行機以外で歩きだったり、バス、列車、船で国境を越えるというのはどうしてだか楽しいですね。パスポートにスタンプが押されていくのも何故だかうれしいし。今回体験した国境越え、タイ側2箇所は下手すると手続きをする場所に気づかず通り過ぎてしまうくらいののんびりとしたところです。

2007年2月24日掲載 (旅行時期は1月です)

Intraasia注記:この文章と写真はチョコレートさんの寄稿そのままです。Intraasiaは、ホームページ画面で読みやすいように、ページ背景の色付け、小見出しのサイズ変更、行詰め、写真配置だけを施しました。主題が国境超えなので、コメントとしての注書きも加えておきました。